建物の管理者・オーナーの方へ
マンション駐車場のシャッターが故障したとき|管理組合・管理会社の手続きと進め方
使用を止めて居住者に知らせる、決める人を確かめる、見積もりと決議で修理を進める

「駐車場のシャッターが開かなくて車が出せない」「閉まらないまま夜になる」。分譲マンションの駐車場のシャッターが故障すると、管理会社や理事長のもとに居住者から次々に連絡が入ります。毎日使う設備だけに、早く直してほしいという声が強くなるのは当然です。
ただ、駐車場のシャッターは、一人の居住者の持ち物ではありません。誰が修理を決め、費用をどこから出すのかは、マンションの管理規約や管理委託契約によって決まります。ここを確かめないまま発注すると、後から承認や費用の負担でもめることがあります。管理会社と理事会の間で、誰がどこまで判断するかがあいまいなままだと、居住者への説明も遅れがちです。
故障の連絡を受けたら、まず止めて知らせ、次に「決める人」を確かめることが大切です。 この記事では、管理会社のフロント担当者や管理組合の理事の方に向けて、最初にすること、手続きの流れ、費用と保険の確認、居住者への周知、次の故障への備えをまとめます。
故障の連絡を受けたら最初にすること
まずは、人と車の安全を確保します。そのうえで、居住者に状況を知らせます。
使用を止め、立ち入りを制限する
いつもと違う動きや異音があるときは、使用を中止し、通行を禁止する。業界団体は、異常があるときの対応としてこう呼びかけています。途中で止まったシャッターの下を、人や車が通らないようにしてください。コーンやバーで出入口の前を区切り、操作盤やリモコンを使わないよう表示を出します。
居住者に第一報を出す
エレベーターホールや駐車場の出入口に掲示を出し、故障していること、使用を止めていること、分かり次第続報を出すことを伝えます。駐車場を使う居住者が限られる場合は、使用者の名簿をもとに個別に連絡する方法もあります。
【やってはいけないこと】
- 居住者が自分で手で引き上げたり、押し下げたりする
- 動くか確かめるために、何度も操作を繰り返す
- 途中で止まったシャッターの下を、車でくぐり抜ける
- 承認の手続きを確かめないまま、修理を発注する
誰の設備で、誰が決めるのか
次に、駐車場のシャッターがマンションの中でどう位置づけられているかを確認します。

共用部分かどうかと、管理規約の定め
国土交通省が示している「マンション標準管理規約」では、敷地と共用部分の管理は、管理組合がその責任と負担で行うとされています。駐車場についても、管理組合が駐車場使用契約によって特定の区分所有者に使わせる、という考え方が示されています。
ただし、標準管理規約はあくまでひな形です。実際の扱いは、そのマンションの管理規約や駐車場の使用細則によって異なります。シャッターがどの範囲に含まれるか、修理を誰が決めるかは、まず規約で確かめましょう。
管理委託契約の範囲
管理会社に管理を委託している場合は、委託契約のどこまでが管理会社の業務かも確認します。たとえば、業者の手配や見積もりの取りまとめは管理会社、修理の判断と承認は理事会、という分け方があります。具体的な分担は契約によるため、故障が起きる前に確かめておくと安心です。
同じような状況でお困りでしたら、ご相談ください
設置場所、手動・電動の種類、今の状態をお知らせいただくと、確認しやすくなります。写真はLINEで送れます。
修理を決めるまでの手続き
一般的には、次の順番で進めます。

| 段階 | すること | ポイント |
|---|---|---|
| ① 現地確認の依頼 | 管理会社が修理業者に現地確認を依頼する | 故障の状況と、立ち会える日時を伝える |
| ② 見積もり・報告 | 原因と修理の範囲、見積もりを受け取る | 応急の対応と本修理を分けて出してもらう |
| ③ 理事会・総会 | 修理の内容と費用を審議する | どの会議で決めるかは規約による |
| ④ 発注・日程 | 発注し、工事日を決める | 部品の取り寄せの期間を確認する |
| ⑤ 周知・工事 | 居住者に工事日を知らせ、工事を行う | 工事中の車の出入りの方法も伝える |
急ぐ必要があるとき
車が出せない、閉まらず防犯が心配といった状況では、通常の会議の日程を待てないこともあります。標準管理規約では、災害等の緊急時には、理事長が総会や理事会の決議によらずに共用部分の必要な保存行為を行えることや、災害等で総会の開催が難しい場合の応急的な修繕工事の実施を理事会で決められることが示されています。
ただし、どの場合に緊急の扱いができるかは、そのマンションの規約の定めによります。急ぐときこそ、理事長と管理会社で判断の根拠を確かめ、後で理事会や総会に報告できるよう記録を残しておきましょう。応急の対応と本修理を分けて見積もりを取っておくと、判断しやすくなります。
費用の出どころと保険の確認
修理の費用をどこから出すかも、規約と予算によって決まります。標準管理規約では、不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕が、修繕積立金を取り崩せる場合の一つとして挙げられています。通常の点検や小さな修理を管理費の予算で行うのか、修繕積立金を使うのかは、規約と総会で決めた予算を確認してください。
車がシャッターに当たって壊れた場合は、当てた人と費用の扱いを話し合うことになります。また、標準管理規約では、共用部分に係る損害保険料を管理費から支出することや、管理組合が損害保険の契約を結ぶことも示されています。ただし、補償の対象になるかは契約内容と保険会社の判断によります。写真や日時の記録をそろえて、契約先に確認しましょう。
修理までの居住者への周知と出入り
修理までの期間は、居住者の協力が欠かせません。続報の掲示には、次のことを入れておくと問い合わせが減ります。
- 故障の状況と、使用を止めていること
- 修理の予定(決まっていなければ、決まり次第知らせること)
- 修理までの車の出入りの方法と、問い合わせ先
- シャッターに触れない、下を通らないというお願い
開いたまま・閉じたままのとき
開いたまま閉まらない場合は、夜間の防犯を考える必要があります。見回りの強化など、管理会社と理事会で対応を決めておきましょう。閉じたまま開かない場合は、車を出せない居住者への個別の対応が必要です。業者の点検で手動での開閉ができると確認されるまでは、居住者に操作を任せないでください。
機械式駐車設備がある場合
駐車場に機械式の駐車設備がある場合、シャッターが設備の一部なのか、別の設備なのかで依頼先が変わることがあります。国土交通省は機械式駐車設備の維持管理の指針を示しており、管理者には保守点検事業者との契約内容を確認することが期待されています。シャッターが保守契約に含まれているかも、あわせて確かめましょう。
費用が変わる要素と、理事会資料に入れたいこと
駐車場のシャッターの修理は、原因や製品によって内容が大きく変わります。そのため、ここでは金額の目安ではなく、費用が変わる主な要素を整理します。
| 費用が変わる要素 | 内容 |
|---|---|
| 不具合の原因と範囲 | 操作の機器か、開閉機か、カーテンやレールの損傷か |
| 修理の方法 | 調整や部品の交換で済むか、本体の交換が必要か |
| シャッターの種類と大きさ | 手動・電動、開口の寸法 |
| 部品の取り寄せ | 製品に合う部品の手配が必要か |
| 作業の条件 | 作業できる曜日・時間帯、車の出入りとの調整、立会いの要否 |
※費用は、シャッターの種類・大きさ・設置状況、部品の取り寄せの有無によって変わります。別途、基本料金や作業の時間帯による料金がかかる場合があります。正確な費用は、現地で状態を確認したうえでお見積もりします。
理事会で審議するときは、見積書のほかに、故障の原因と現在の状態、応急の対応と本修理の違い、工事にかかる時間、工事中の出入りの方法をまとめておくと、判断が早くなります。
日本シャッターサービスセンターでできること
日本シャッターサービスセンターでは、マンションの駐車場のシャッターの修理、部品交換、交換のご相談を承ります。管理会社や理事長からのご依頼に対応し、現地で原因と修理の範囲を確認してから、応急の対応と本修理を分けてご案内します。

現地確認や工事の際には、管理会社の担当者や理事長との立会い、居住者への周知の時期も相談しながら日程を決めます。理事会資料に使えるよう、原因と修理の範囲を分かりやすくお伝えします。新設・防火・法人向けの工事には、5年間の施工保証が付きます。
電動シャッターが途中で止まる場合の原因の考え方は、次の記事でも解説しています。
次の故障に備えて管理組合で整えておくこと
故障は、理事の交代や管理会社の変更の後に起きることもあります。次のことを整えておくと、慌てずに対応できます。

記録と連絡の流れをまとめる
製品のラベルの情報、設置した年、点検と修理の記録をまとめて保管します。故障したときに誰が誰に連絡し、どこまでを理事長の判断で進めるかも、理事会で確認しておきましょう。
点検と更新の時期を計画に入れる
業界団体は、シャッターの日常点検と定期点検が必要だとしています。点検の結果をもとに、部品の交換や更新の時期を長期修繕計画に入れておくと、急な出費や手続きの遅れを防ぎやすくなります。
まとめ
マンション駐車場のシャッターが故障したときは、まず使用を止めて立ち入りを制限し、居住者に第一報を出します。次に、管理規約や使用細則、管理委託契約で、誰が修理を決め、費用をどこから出すかを確かめましょう。標準管理規約には緊急時の扱いも示されていますが、実際に何ができるかはそのマンションの規約によります。保険の補償の対象になるかは、契約内容と保険会社の判断によります。
見積もりは応急の対応と本修理を分けて受け取り、理事会資料にまとめると判断が早くなります。修理の後は、記録と連絡の流れを整え、点検と更新の時期を計画に入れておきましょう。
修理の流れや症状ごとの確認は「シャッター修理」、管理物件や複数の建物のシャッター工事は「法人向けシャッター工事」、古いシャッターを入れ替える場合は「シャッターの新設・取り付け」のページもご覧ください。
【付録】この記事で使った用語
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| 共用部分 | マンションのうち、区分所有者が共同で使う部分。管理組合が管理する。 |
| 管理規約 | マンションの管理や使い方について、区分所有者が定めたルール。 |
| マンション標準管理規約 | 国土交通省が示している管理規約のひな形。各マンションの規約は、これを参考に定められる。 |
| 使用細則 | 管理規約にもとづいて、駐車場などの使い方を細かく定めたルール。 |
| 管理委託契約 | 管理組合が管理会社に管理の業務を任せる契約。 |
| 保存行為 | 設備の現状を保つための行為。 |
| 修繕積立金 | 計画的な修繕などに備えて、区分所有者が積み立てるお金。 |
| 長期修繕計画 | 将来の修繕の内容と時期、費用の見込みをまとめた計画。 |
| 機械式駐車設備 | 機械で車を動かして収める駐車設備。 |
| ガイドレール | 開口の左右に付く縦のレール。カーテンの上下の動きを案内する。 |