建物の管理者・オーナーの方へ
電動シャッターを新設するときの電源・配線工事|事前に確認したいこと
電源の取り方、配線の経路、操作スイッチ・リモコンの位置、電気工事の資格、停電時の手動操作まで

倉庫の搬入口や店舗の入口に電動シャッターを付けると、スイッチやリモコンで開け閉めできるようになります。開口が大きい場所や、開け閉めの回数が多い場所では、操作の負担を減らせるのが大きな利点です。
一方で、電動シャッターは、本体の取り付けに加えて電気の工事が関わります。電源をどこから取るか、配線をどこに通すか、スイッチをどこに付けるか。こうした点が決まっていないと、工事の範囲や日程がなかなか決まりません。
この記事では、電動シャッターの新設を考えている方に向けて、電源と配線について事前に確認しておきたいこと、電気工事の資格の考え方、停電時の手動操作についてまとめます。
電動シャッターに関わる電気の設備
業界団体の資料では、電動のシャッターは、巻き取りシャフトに開閉機で駆動力を与えて動かし、押しボタンスイッチで開け閉めするのが基本と説明されています。リモコンスイッチを使えば、シャッターから離れたところから操作することもできます。
電気の工事を考えるうえでは、次の設備の位置関係を押さえておくと分かりやすくなります。

| 設備 | 役割 | 事前に考えておきたいこと |
|---|---|---|
| 電源 | 開閉機に電気を送る | 建物のどこから電気を取るか |
| 配線 | 電源・開閉機・スイッチをつなぐ | どこを通すか、見た目と工事の範囲 |
| 開閉機 | シャッターを巻き上げ・巻き下ろす | ケースのどちら側に付くか |
| 操作スイッチ | その場で開け閉めする | 誰が、どこから操作するか |
| リモコン | 離れた場所から操作する | 何個必要か、誰が持つか |
電源の取り方
電動シャッターの電源は、建物の分電盤などから取るのが一般的です。既存の回路から取れるか、新しく回路を設ける必要があるかは、製品の仕様と建物の電気設備の状況によって決まります。
製品の仕様と、建物の電気設備を照らし合わせる
必要な電源の種類は、シャッターの大きさや製品によって異なります。建物側にその電源があるか、分電盤に空きがあるか、分電盤からシャッターまでの距離がどのくらいかによって、電気工事の範囲が変わります。
建物の電気設備の担当者にも確認する
工場や大きな建物では、電気設備を管理する担当者や委託先が決まっていることがあります。テナントビルでは、電源の取り出しが管理会社やオーナーの承認の対象になることもあります。電源をどこから取るかは、シャッターの工事を依頼する前に、建物側の窓口にも確認しておきましょう。

配線の経路
電源の位置が決まったら、開閉機とスイッチまでの配線をどこに通すかを考えます。
天井裏・壁の中を通すか、露出で通すか
配線を天井裏や壁の中に通すと、見た目はすっきりします。ただし、天井や壁を開ける作業と、その後の復旧が必要になることがあります。配線を保護する管などで壁や天井の表面に沿わせる方法もあり、工事の範囲は比較的小さく済む場合がありますが、配線が見えることになります。店舗の売り場など見た目を重視する場所か、倉庫のように使い勝手を優先する場所かによって、選び方が変わります。
外壁を通す場合や、屋外に配線する場合
分電盤が建物の中にあり、シャッターが外壁に付く場合は、壁を貫通して配線することがあります。屋外に配線やスイッチを設ける場合は、雨水への対策も必要です。外壁に穴をあける工事は、建物によっては管理会社やオーナーの承認が必要になります。
内装工事と同時に進める場合
新築や改装と同時に電動シャッターを付ける場合は、天井や壁を仕上げる前に配線を通しておけることがあります。内装の担当者と、配線の経路と工事の順番を早めに共有しておきましょう。
操作スイッチ・リモコンの位置
操作スイッチの位置は、毎日の使いやすさと安全の両方に関わります。
動いているシャッターが見える位置か
業界団体は、シャッターの下に人や物がないことを確認してから操作すること、動いている間はそばを離れず、止まるまで目を離さないことを呼びかけています。操作スイッチは、操作する人がシャッターの動きを見ながら操作できる位置かどうかを考えて決めましょう。
誰が、どこから操作するか
店舗ならスタッフが開店・閉店のときに、倉庫ならドライバーや作業担当者が出入りのたびに操作します。誰が、建物の内と外のどちらから操作するかによって、スイッチの位置や数、リモコンの要否が変わります。リモコンは便利ですが、数と保管する人を決めておかないと、紛失や持ち出しの管理が難しくなります。
安全装置もあわせて検討する
業界団体は、日常的に開け閉めする管理用のシャッターに、降りてくる途中で障害物を感知すると止まる、または反転する「障害物感知装置」を設けることを勧めています。異常時の急降下を防ぐ装置についても紹介されています。どの装置を付けるかは、製品と使い方に合わせて相談しましょう。
電気工事が必要になる場合と資格
電動シャッターの新設では、建物の電気設備から電源を取り、配線する工事が必要になることが多くあります。
電気工事士法の考え方
電気工事士法は、電気工事の欠陥による災害を防ぐことを目的に、電気工事の作業に従事する人の資格と義務を定めた法律です。この法律で定める電気工事の作業は、電気工事士などの資格を持つ人でなければ従事できないとされています。
一方、法令では、資格がなくても行える「軽微な工事」も定められています。ただし、その範囲は限られています。シャッターの電源や配線の工事がどちらに当たるかは、作業の内容によって変わるため、自分で判断せず、工事を依頼する会社に確認しましょう。
電気工事を請け負う事業者
電気工事業を営む事業者には、電気工事業法に基づく都道府県知事などへの登録や、主任電気工事士の設置などが定められています。シャッターの工事と電気の工事を同じ会社がまとめて行うのか、別の電気工事の会社が行うのかも、見積もりの段階で確認しておくと安心です。
【やってはいけないこと】
- 資格がないまま、建物の配線にシャッターの電源をつなぐ
- 電源の取り方を建物側に確認しないまま、工事の日程を決める
- シャッターの動きが見えない場所だけに操作スイッチを付ける
- 停電時の操作方法を確認しないまま、引き渡しを受ける
停電時の手動操作の考え方
電動シャッターは、停電すると通常のスイッチやリモコンでは動きません。業界団体の資料では、停電時にはシャッターカーテンが納まったボックス部分にある手動ハンドルや手動チェーンを操作して開けること、ブレーキ開放用のひもを操作して閉めることができると説明されています。
ただし、手動で操作するための仕組みや手順は、製品によって異なります。引き渡しのときに、停電時の操作方法を実際に確認し、取扱説明書をすぐ取り出せる場所に保管しておきましょう。操作する担当者を決めておくことも大切です。
停電が起きたときに、搬入口や入口を開けておく必要があるのか、閉めておく必要があるのかは、建物の使い方によって違います。倉庫であれば荷物の出し入れ、店舗であれば閉店後の防犯を考えて、停電時にどう対応するかを事前に話し合っておくと、いざというときに慌てずに済みます。
なお、火災のときに閉まる防火シャッターは、普段の開け閉めに使うシャッターとは考え方が異なります。業界団体の資料では、火災の際に停電でも作動することが建築基準法で定められていると説明されています。防火シャッターについては、別の記事で解説しています。
同じような状況でお困りでしたら、ご相談ください
設置場所、手動・電動の種類、今の状態をお知らせいただくと、確認しやすくなります。写真はLINEで送れます。
費用が変わる要素と、相談の前の準備
電動シャッターの新設は、建物の電気設備の状況や配線の経路によって工事の内容が大きく変わります。ここでは金額の目安ではなく、費用が変わる主な要素を整理します。
| 費用が変わる要素 | 内容 |
|---|---|
| シャッターの種類と大きさ | 開口の幅と高さ、製品の仕様 |
| 電源の取り方 | 既存の回路から取れるか、新しく回路を設けるか |
| 配線の経路と距離 | 分電盤からの距離、天井裏・壁の中・露出のどれか |
| 天井・壁の復旧 | 配線のために開けた天井や壁の復旧の有無 |
| スイッチとリモコン | 操作スイッチの数と位置、リモコンの数 |
| 安全装置 | 障害物感知装置などの有無 |
| 作業の条件 | 作業できる日時、停電作業の要否、搬入の条件 |
※費用は、シャッターの種類・大きさ・設置状況などによって変わります。正確な費用は、現地で状態を確認したうえでお見積もりします。
相談の前に準備しておきたいこと
分電盤の場所と、シャッターを付けたい開口の写真を撮っておきましょう。開口の上の天井や、配線を通したい壁も撮っておくと、経路の検討に役立ちます。電気設備の担当者や管理会社の連絡先、図面があれば、あわせてご用意ください。今ある手動シャッターを電動にしたい場合は、別の記事も参考になります。
手動シャッターを電動にするには|工事前に確認したい6つのこと →
日本シャッターサービスセンターの新設の流れ
日本シャッターサービスセンターでは、電動シャッターの新設のご相談を承ります。開口の寸法と取り付けの条件に加えて、電源の位置や配線の経路、スイッチの位置を現地で確認し、工事の範囲をご案内します。


| 段階 | 内容 |
|---|---|
| ① ご相談 | 設置したい場所と目的、分電盤の位置を伺う |
| ② 現地調査 | 開口、電源、配線の経路、スイッチの位置を確認する |
| ③ お見積書の提出 | 電気工事の範囲と、別途になる項目を示す |
| ④ 施工 | 本体の取り付けと、電源・配線の工事を行う |
| ⑤ お引き渡し | 動作と停電時の操作方法を確認してお引き渡し |
新設の工事には5年間の施工保証が付きます。
まとめ
電動シャッターの新設では、本体の取り付けに加えて、電源の取り方、配線の経路、操作スイッチ・リモコンの位置を決める必要があります。電源をどこから取れるかは、製品の仕様と建物の電気設備の状況によって変わるため、建物の電気設備の担当者や管理会社にも早めに確認しましょう。
建物の配線につなぐ工事は、電気工事士法で定める電気工事に当たる場合があり、資格を持つ人でなければ従事できません。自分で配線せず、工事を依頼する会社に範囲を確認してください。あわせて、停電時の手動操作の方法を引き渡しのときに確認しておくと安心です。
修理の流れや症状ごとの確認は「シャッター修理」、新設の進め方は「シャッターの新設・取り付け」、工場・倉庫・管理物件などの工事は「法人向けシャッター工事」のページもご覧ください。
【付録】この記事で使った用語
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| 開閉機 | シャッターを巻き上げ・巻き下ろすための装置。電動シャッターのケースの近くに付く。 |
| 分電盤 | 建物の電気を各回路に分けて送る盤。ブレーカーなどが収められている。 |
| 回路 | 分電盤から電気を送る、配線のひとまとまり。 |
| 操作スイッチ | 電動シャッターをその場で開け閉めするためのスイッチ。 |
| 露出配線 | 天井や壁の中に隠さず、表面に沿わせて通す配線。 |
| 障害物感知装置 | シャッターが降りる途中で障害物を感知すると、止まる、または反転する装置。 |
| 電気工事士 | 電気工事士法に基づき、電気工事の作業に従事できる資格を持つ人。 |
| 軽微な工事 | 電気工事士法の施行令で定められた、資格がなくても行える一部の工事。 |
| 電気工事業法 | 電気工事業を営む事業者の登録などを定めた法律。正式名は「電気工事業の業務の適正化に関する法律」。 |