建物の管理者・オーナーの方へ
工場・倉庫の出入口に新設するシャッターの選び方|開口・使用頻度・操作方法
出入口の使われ方の整理、開口の大きさ、開け閉めの回数、操作する場所、外壁の出入口ならではの条件まで

工場のレイアウトを変えて、新しい出入口をつくる。倉庫の搬入口を増やす。こうした計画の中で、出入口にどんなシャッターを付けるかを任される担当者の方も多いのではないでしょうか。
工場や倉庫の出入口は、住宅や店舗の入口とは使われ方が違います。フォークリフトやトラックが通り、1日に何度も開け閉めし、複数の人が操作します。開口の寸法だけで製品を決めると、使い始めてから「開くのを待つ時間が長い」「操作する場所が不便」といった不満が出ることがあります。
工場・倉庫のシャッターは、「現場の動き」に合わせて選ぶことが大切です。 この記事では、出入口の使われ方を整理する方法と、開口・開け閉めの回数・操作方法の決め方をまとめます。
まず出入口の使われ方を書き出す
製品を選ぶ前に、その出入口がどのように使われるかを書き出してみましょう。現場の担当者に聞き取ると、設備の担当者だけでは気づかない条件が見えてきます。
| 書き出すこと | 例 |
|---|---|
| 通るもの | フォークリフト、トラック、台車、人 |
| 開け閉めの回数 | 1日に何回か、時間帯によって偏りがあるか |
| 操作する人 | 決まった担当者か、複数の部署の人か |
| 使う時間帯 | 日中だけか、夜間や休日も使うか |
| 外気・空調 | 開けている時間を短くしたいか、ほこりや虫を入れたくないか |
これらがはっきりすると、開口の大きさ、製品の種類、操作の方法を検討しやすくなります。
現場の担当者と一緒に確認する
使われ方は、図面を見ているだけでは分かりません。出荷や搬入の担当者、フォークリフトを運転する人、夜間に戸締まりをする人など、実際に出入口を使う人に話を聞いてみましょう。「この時間帯は出入りが集中する」「雨の日は開けたままにしたくない」といった声が、製品や操作の方法を決める手がかりになります。
既存の出入口で困っていることがあれば、それも書き出しておきます。新しい出入口で同じ不満を繰り返さないための材料になります。ほこりや虫を入れたくない、空調を保ちたいといった条件が強い出入口では、業界団体の資料で、精密部品・食品・医薬品などの工場の出入口に使われていると紹介されている高速シートシャッターを検討する場合もあります。
開口の大きさは「通るもの」から決める

一番大きいものを基準にする
開口の幅と高さは、そこを通る一番大きいものを基準に考えます。フォークリフトなら荷を積んだ状態の高さ、トラックなら荷台の高さも確認しましょう。今使っている車両だけでなく、数年先に入れ替える可能性のある車両も考えておくと安心です。
開ききったときの下端の位置
シャッターは、開ききっても開口の上端まで下端が上がるとは限りません。開ききったときの下端の高さが、通るものの高さに足りているかを確認します。
人の通行をどうするか
フォークリフトやトラックが通る出入口を、人も一緒に通るかどうかも決めておきましょう。人の出入りが多い場合は、車両用とは別に人が通る扉を設けるかどうかも、レイアウトとあわせて検討します。
開け閉めの回数と製品の選び方
回数が多い出入口では、必ず伝える
業界団体の資料では、一般の管理用シャッターの開閉繰返し性能は1万回程度とされています。開け閉めの回数が多い出入口ほど、部品の消耗が早く進みます。1日に何十回も開け閉めする出入口では、その回数を製品選びの段階で伝えておくことが大切です。
回数とあわせて、「開くのを待てる時間」も考えておきましょう。トラックの出入りが続く時間帯に開閉を待つ時間が長いと、作業の流れが止まります。開け閉めの速さが作業に影響する出入口では、その点も相談のときにお伝えください。
開けたままにする時間が長い場合
反対に、朝に開けて夕方まで開けたままにする出入口もあります。その場合は、開け閉めの回数よりも、開けている間の防犯や風雨、閉めるときの安全確認が課題になります。開けたままの時間に、強い風や雨が吹き込むことがないかも、現場の担当者に確かめておくと安心です。
回数に合わせて点検を計画する
開け閉めの回数が多いシャッターは、それだけ部品が早く傷みます。新設の段階で、点検の頻度や担当を決めておくと、止まってから慌てることを防げます。電動シャッターが途中で止まるときに考えられることは、別の記事で解説しています。
操作方法と操作する場所を決める

| 操作する場所 | 向いている使い方 | 注意すること |
|---|---|---|
| 屋内側 | 中から開けて出荷・搬入する | 閉めるときにシャッターの下が見えるか |
| 屋外側 | 外から来た車両を迎え入れる | いたずらや無断の操作を防げるか |
| 屋内外の両側 | どちらからも出入りがある | 両側で同時に操作しないルール |
| 離れた場所 | 車両に乗ったまま操作したい | 動いているシャッターが見える位置か |
動いているシャッターが見える位置に付ける
業界団体は、シャッターの下に人や物がないことを確認してから操作するよう呼びかけています。操作スイッチは、動いているシャッターの下が見える位置に付けることが基本です。荷物の陰や柱の裏など、見通しの悪い位置は避けましょう。
操作する人を決めておく
複数の部署の人が操作する出入口では、操作してよい人や手順を決めておくと、事故やトラブルを防ぎやすくなります。夜間や休日に誰が閉めるのか、閉めたことを誰が確かめるのかも、運用のルールとして決めておきましょう。新しく配属された人や協力会社の人にも、操作の手順を伝えておくことが大切です。
安全装置と停電時の操作
業界団体の資料では、日常的に使う管理用のシャッターに、降りている途中で障害物を感知すると止まる障害物感知装置や、電動シャッターの駆動部が壊れたときに急に降りるのを防ぐ急降下防止装置が紹介されています。人や車両の出入りが多い出入口では、これらもあわせて検討しましょう。
また、電動のシャッターは停電のときに、手動のハンドルやチェーンで開けられると説明されています。仕組みは製品によって異なるため、引き渡しのときに手順を確認しておきます。
電動にするなら電気工事も確認する
電気工事士法では、資格を持たない人が電気工事の作業に従事することが禁じられています。電源をどこから取るか、操作スイッチまでの配線をどう通すかは、建物の電気設備の担当者とも確認しておきましょう。
外壁の出入口ならではの条件
風に耐える性能
業界団体の資料では、外壁の開口部に設置するシャッターには耐風圧性能が必須条件で、設置する環境に応じた必要な強度の確認が欠かせないと説明されています。開口が大きい工場や倉庫の出入口では、特に大切な条件です。
防犯
夜間や休日に無人になる工場・倉庫では、防犯の性能も検討の材料になります。警察の案内では、侵入に対する抵抗時間が5分以上と確認された「防犯性能の高い建物部品」の対象に、重量シャッターや軽量シャッターが含まれています。
防火の要否は設計で確認する
出入口の位置によっては、防火設備が必要になる場合があります。必要かどうかは、建物の用途や規模、所在地、開口の位置によって決まり、扱いは特定行政庁によって異なります。設計図書や設計者に確認しておきましょう。
費用が変わる要素と、やってはいけないこと
工場・倉庫のシャッターの新設は、開口の大きさや使われ方によって工事の内容が大きく変わります。ここでは金額の目安ではなく、費用が変わる主な要素を整理します。
| 費用が変わる要素 | 内容 |
|---|---|
| シャッターの種類と大きさ | 開口の幅と高さ、手動か電動か |
| 求められる性能 | 開け閉めの回数、耐風圧、防犯、防火の要否 |
| 操作と安全装置 | 操作する場所の数、安全装置の種類 |
| 取り付けの条件 | 上部のスペース、下地や鉄骨の補強の要否 |
| 電気工事 | 電源の取り方、配線の距離 |
| 作業の条件 | 稼働しながらの工事か、夜間・休日の作業か |
※費用は、シャッターの種類・大きさ・設置状況、部品の取り寄せの有無によって変わります。正確な費用は、現地で状態を確認したうえでお見積もりします。
【やってはいけないこと】
- 開口の寸法だけを伝えて、開け閉めの回数や操作する人を伝えない
- 今使っている車両の寸法だけで、開口の高さを決める
- 動いているシャッターが見えない位置に、操作スイッチを付ける
- 防火の要否を確認しないまま、製品を決める
相談の前に準備しておきたいこと

相談の前に、最初に書き出した使われ方のメモに加えて、出入口の全体と上部・左右の写真、建物の図面、工事できる日時を分かる範囲でそろえておくと、現地確認と見積もりが具体的になります。稼働を止められない工場・倉庫では、工事の時間帯の希望も早めにお伝えください。
開口の上部や左右、下地など、新設のときに現地で確認することは、別の記事で解説しています。
日本シャッターサービスセンターでできること

日本シャッターサービスセンターでは、工場・倉庫の搬入口や出入口へのシャッターの新設を承ります。使われ方を伺い、現地で開口の寸法と取り付けの条件を確認してから、製品と操作の方法をご案内します。稼働の予定に合わせた工事の日時の調整や、入館の手続きにも対応します。新設・防火・法人向けの工事には、5年間の施工保証が付きます。
まとめ
工場・倉庫の出入口のシャッターは、開口の寸法だけでなく、現場での使われ方に合わせて選ぶことが大切です。まずは、通るもの、開け閉めの回数、操作する人、使う時間帯、外気や空調の条件を書き出しましょう。
そのうえで、一番大きいものが通れる開口と、開ききったときの下端の位置を確認します。開け閉めの回数が多い出入口では、その回数を製品選びの段階で伝えます。操作スイッチは動いているシャッターが見える位置に付け、安全装置や停電時の操作も確認します。外壁の出入口では、風に耐える性能と防犯、防火の要否も忘れずに確認しましょう。
工場・倉庫など法人の建物での工事は「法人向けシャッター工事」、防火の指定がある出入口は「防火シャッター」のページもご覧ください。
【付録】この記事で使った用語
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| 開口(開口部) | 壁にあいた出入口や窓など、シャッターを付ける部分。 |
| 管理用シャッター | 外からの侵入や風雨を防ぐために、日常的に開け閉めして使うシャッター。 |
| 開閉繰返し性能 | 開け閉めを何回繰り返しても使えるかの目安となる性能。 |
| 障害物感知装置 | シャッターが降りる途中で障害物を感知すると止まる安全装置。 |
| 急降下防止装置 | 電動シャッターの駆動部が壊れたときに、シャッターが急に降りるのを防ぐ装置。 |
| 耐風圧性能 | 風の力に耐える性能。外壁に付けるシャッターで求められる。 |
| 高速シートシャッター | シート状のカーテンを速く開け閉めするシャッター。空調管理が必要な工場などで使われる。 |
| 防犯性能の高い建物部品 | 官民合同会議の試験で、侵入に対する抵抗時間が5分以上と確認された部品。 |
| 防火設備 | 防火シャッターや防火戸など、火災の広がりを抑えるための設備。 |
| 電気工事士 | 電気工事士法に基づく、電気工事の作業を行うための資格。 |