建物の管理者・オーナーの方へ

防火シャッターの交換・更新を考えるタイミング

定期検査の指摘の読み方、部品の手配、修理と更新の比べ方、工事中の防火区画の確認まで

公開日:作成:日本シャッターサービスセンター
工場の生産エリアをつなぐ大きな開口の上に、防火シャッターのケースが収まり、開いたままの状態を離れた位置からのイメージ
イメージ画像(AI生成)

定期検査の報告書を受け取り、防火シャッターに指摘が付いていた。修理で直るのか、それとも交換を考えるべきなのか。社内やオーナーに説明しなければならないのに、判断の材料がそろわない。設備の担当者からは、こうしたご相談が少なくありません。

防火シャッターの交換は、設置からの年数だけで決まるものではありません。 検査で何を指摘されたのか、必要な部品が手に入るのか、工事の間に防火区画をどう保つのか。これらをそろえて考えることで、修理で済ませるか、交換・更新に進むかを判断しやすくなります。

この記事では、建物の管理担当者やオーナーの方に向けて、交換・更新を考え始めるきっかけと、判断の進め方をまとめます。法令や手続きの扱いは建物と所在地によって異なるため、最終的には検査者や特定行政庁に確認することを前提にお読みください。

防火シャッターの交換・更新を検討している方へ

作動後の復旧、閉まらない・勝手に降りるといった不具合、定期検査で指摘された箇所の是正、予備電源の交換まで、防火シャッターのご相談を承ります。点検・法定の定期検査を行える資格者が複数在籍しています。

防火シャッターの点検・修理・定期検査について見る →

交換・更新を考え始めるきっかけ

防火シャッターは、普段は開けたまま使い、火災のときに閉まる設備です。毎日動かすシャッターと違って、劣化に気づくきっかけが限られます。交換・更新を考え始めるのは、主に次のような場面です。

きっかけ よくある状況
定期検査での指摘 報告書に不具合や是正が必要な項目が記載された
修理の繰り返し 同じ箇所の不具合が、修理のたびに再発する
部品の手配 必要な部品が手に入りにくいと言われた
改装・用途の変更 間取りやテナントの変更に合わせて見直したい

どれか一つに当てはまるからといって、すぐに交換が必要になるわけではありません。まずは、今の状態を正しく把握することから始めます。

特に注意したいのは、同じ箇所の修理を何度も繰り返している場合です。一つひとつの修理は小さくても、積み重なると、本体の見直しを考えた方がよい時期に来ていることがあります。過去の修理の記録を並べてみると、判断の材料になります。

定期検査の指摘をどう読むか

定期検査・報告の基本

建築基準法第12条に基づく定期報告制度では、対象となる建物の防火設備について、一級建築士・二級建築士・防火設備検査員などの資格者が検査を行い、所有者・管理者が結果を特定行政庁へ報告します。報告の時期は、法令で示された間隔の範囲で特定行政庁が定めることとされています。対象の範囲や時期、手続きは特定行政庁によって異なるため、所在地の窓口で確認してください。

制度の全体像は、別の記事で詳しく解説しています。

報告書で確認したいこと

報告書には、検査の項目ごとに結果が記載されます。まず確認したいのは、どのシャッターの、どの部分について、どのような指摘があったかです。建物に複数の防火シャッターがある場合は、図面上の位置と照らし合わせておきましょう。

指摘の意味や、是正の進め方がはっきりしない場合は、検査を行った資格者に説明を求めてください。部品の交換で直る内容なのか、本体にかかわる内容なのかによって、次の判断が変わります。

また、報告書の控えは、修理や交換をした後の検査でも経緯を説明する資料になります。指摘を受けた後に行った工事の内容は、報告書の控えと一緒に保管しておきましょう。

危害防止装置が付いていない古い防火シャッター

防火シャッターには、閉まるときに人が挟まれる事故を防ぐための危害防止装置があります。業界団体の案内では、平成17年12月以降に着工した建物では設置が義務となり、それより前の建物にも設置が勧められています。

古い防火シャッターで危害防止装置が付いていない場合、検査での判定や必要な対応は、建物の状況によって異なります。後付けで対応できるか、本体ごと見直すかは、製品と設置状態を確認したうえで判断します。

同じような状況でお困りでしたら、ご相談ください

設置場所、手動・電動の種類、今の状態をお知らせいただくと、確認しやすくなります。写真はLINEで送れます。

修理で済むか、交換・更新か

指摘の内容が分かったら、修理と交換・更新を比べます。どちらが正しいということではなく、建物の使い方や今後の予定に合う方を選ぶことが大切です。

修理・部品交換と、本体の交換・更新
項目 修理・部品交換 本体の交換・更新
工事の範囲 不具合のある箇所に限られる 本体・レール・関連する装置に及ぶことがある
工事の期間 比較的短く済みやすい 長くなりやすい
部品の手配 必要な部品が手に入ることが前提 製品の選定から始める
向いている状況 指摘が部品の範囲にとどまる 不具合が複数ある、部品が手に入らない

部品の手配を確認する

修理で済ませられるかどうかは、必要な部品が手に入るかに左右されます。製品の表示やラベル、設置時の書類があれば、型式や製造の時期を調べやすくなります。部品の取り寄せに時間がかかる場合は、その間の管理をどうするかもあわせて考えておきましょう。

交換・更新に進む場合は、その開口部に求められる防火設備の条件に合う製品を選ぶ必要があります。どの条件が求められるかは建物の設計によって決まるため、設計図書を確認し、分からない場合は設計者や特定行政庁に確認します。

判断材料をそろえる

修理と交換・更新で迷う場合は、次の点を整理しておくと、社内での説明がしやすくなります。

  • 今回の指摘の内容と、過去の指摘・修理の履歴
  • 必要な部品が手に入るか、取り寄せにどのくらいかかるか
  • 建物の改装や用途の変更の予定があるか
  • 工事できる時期と、建物を使いながら工事する必要があるか

整理した内容は、見積もりを依頼するときにもそのまま伝えられます。修理と交換・更新の両方について工事の範囲と期間を示してもらい、並べて比べると、社内やオーナーへの説明もしやすくなります。

一般のシャッターも含めた修理と交換の考え方は、こちらの記事も参考になります。

工事中の防火区画の扱いを確認する

防火シャッターの修理や交換では、工事の間、その場所の防火区画が一時的に十分に働かない状態になることがあります。建物を使いながら工事をする場合は特に、事前の確認と段取りが欠かせません。

工事中の防火区画を確認する流れ
手順 確認すること
① 工事の範囲と期間 どのシャッターを、何日かけて工事するか
② 建物の管理者・テナント 工事中の通行や営業への影響、作業できる時間帯
③ 特定行政庁・消防署 工事の内容に応じて必要な届出や手続きがあるか
④ 工事中の管理 区画が働かない時間をどう短くし、誰が管理するか
⑤ 工事後 動作の確認と、工事内容の記録

建物の管理者・テナントと調整する

工事の日時は、建物の管理者やテナントの営業、物流の予定と重なります。作業の時間帯、立入りを制限する範囲、工事中の連絡先を事前に共有しておくと、当日の混乱を防げます。工事中は作業の範囲を区切り、関係者以外が立ち入らないようにすることも大切です。管理物件での進め方は、こちらの記事でも解説しています。

行政や消防への確認

不特定多数の人が利用する一定規模の建物では、避難施設等に関する工事の間も建物を使う場合に、建築基準法第90条の3に基づいて、工事中の安全上の措置に関する計画の届出が必要になることがあります。対象となる建物や工事、届出の時期は自治体の案内で確認できます。

このほかにも、工事の内容によっては建築や消防の手続きが必要になる場合があります。必要かどうかは建物と工事によって異なるため、設計者や特定行政庁、建物を管轄する消防署に確認してください。

費用が変わる要素と、相談の前にそろえるもの

防火シャッターの修理や交換は、建物と製品の条件によって内容が大きく変わります。ここでは金額の目安ではなく、費用が変わる主な要素を整理します。

費用が変わる要素 内容
工事の種類 部品交換、装置の後付け、本体の交換・更新のどれか
台数と設置場所 建物内の台数、設置されている階や高さ
製品と大きさ 種類、おおよその寸法、部品の取り寄せの有無
関連する装置 連動する感知器や制御の装置の確認・交換が必要か
周辺の工事 天井や壁の解体・復旧が必要か
作業の条件 作業できる曜日・時間帯、建物を使いながらの工事か

※費用は、シャッターの種類・大きさ・設置状況、部品の取り寄せの有無によって変わります。正確な費用は、現地で状態を確認したうえでお見積もりします。

相談の際は、検査の報告書や指摘の内容が分かる書類、設置場所と台数、製品の表示の写真、設計図書の有無をお知らせください。

【やってはいけないこと】

  • 指摘を受けたまま、次の検査まで様子見で済ませる
  • 動作を確かめるために、防火シャッターを自分で閉鎖させる
  • 区画の扱いを確認しないまま、工事の日程だけを先に決める
  • 交換後の記録を残さず、次の検査で経緯が分からなくなる

日本シャッターサービスセンターでできること

日本シャッターサービスセンターでは、防火シャッターの保守点検、法定の定期検査、修理・部品交換、交換・更新のご相談を承ります。防火シャッターの点検・法定の定期検査を行える資格者が複数在籍し、防火シャッターの点検・検査は年間約500件の実績があります。

立体駐車場のスロープの開口の上に、塗装された防火シャッターのケースが付いている様子を低い位置から見上げた写真風の画像のイメージ
イメージ画像(AI生成)

検査の指摘の内容を伺い、現地で製品と設置状態、連動する装置を確認したうえで、修理で対応できるか、交換・更新を検討するかをご案内します。工事中の区画の扱いや作業の時間帯も、管理者様と相談しながら決めていきます。複数台・複数の建物をまとめてのご相談も、台数と所在地をお知らせいただければ、現地確認の進め方をご案内します。新設・防火・法人の工事には5年間の施工保証が付きます。

交換を先送りしないための日頃の準備

交換・更新は、予算や工事の時期の調整に時間がかかります。日頃から準備をしておくと、指摘を受けたときに判断を急がずに済みます。

交換を先送りしないための日頃の準備

記録をシャッターごとにまとめる

検査の報告書、修理の記録、指摘の内容は、シャッターごとに整理しておきましょう。同じ箇所の不具合が繰り返されているかどうかは、記録があって初めて分かります。

改装の予定と合わせて考える

テナントの入れ替えや改装の予定がある場合は、その時期に合わせて交換・更新を検討すると、工事を一度で済ませやすくなります。予定が分かった段階で、早めにご相談ください。

降下位置に物を置かない

修理や交換を待つ間も、シャッターが降りてくる位置に荷物や台車を置かないようにしましょう。いざというときに閉まりきらない原因になります。

よくある質問

防火シャッターは設置から何年で交換が必要になりますか?

交換は設置からの年数だけで決まるものではありません。検査で何を指摘されたのか、必要な部品が手に入るか、工事の間に防火区画をどう保つかを合わせて考え、修理で済ませるか交換・更新に進むかを判断します。

修理で済むか、交換・更新が必要かは、どう見分けますか?

指摘が部品の範囲にとどまり、必要な部品が手に入るなら修理が向いています。不具合が複数ある場合や部品が手に入らない場合は、本体の交換・更新を検討します。過去の修理の記録を並べると、判断の材料になります。

防火シャッターの工事中は、防火区画はどうなりますか?

修理や交換の間は、その場所の防火区画が一時的に十分に働かない状態になることがあります。工事の範囲と期間、テナントとの調整、必要な届出の有無、工事中の管理を事前に確認し、区画が働かない時間を短くする段取りが欠かせません。

まとめ

防火シャッターの交換・更新は、設置からの年数だけで決めるものではありません。定期検査で何を指摘されたのかを検査者に確認し、部品の手配ができるか、修理と交換・更新のどちらが建物の予定に合うかを比べます。工事の間の防火区画の扱いは、建物の管理者・テナントと調整し、必要な手続きを特定行政庁や消防署に確認しておきましょう。

対象の範囲や手続きは、建物と所在地によって異なります。指摘の書類をそろえて相談することが、判断の近道です。

防火シャッターの点検・検査・修理・交換は「防火シャッター」、複数の建物や台数をまとめて相談したい場合は「法人向けシャッター工事」のページもご覧ください。

【付録】この記事で使った用語

用語 説明
防火シャッター 火災のときに閉まり、炎や煙が広がるのを抑えるためのシャッター。普段は開けたまま使う。
定期報告制度 建築基準法第12条に基づき、対象の建物の防火設備などを資格者が検査し、所有者・管理者が特定行政庁へ報告する制度。
特定行政庁 建築に関する行政を担う自治体。定期報告の対象や時期を定め、報告を受ける。
防火設備検査員 防火設備の定期検査を行う資格者の一つ。
是正 検査で指摘された不具合や不備を直すこと。
危害防止装置 防火シャッターが閉まるときに、人が挟まれる事故を防ぐための装置。
防火区画 火災が広がらないように、建物の中を一定の範囲で区切ること。防火シャッターはその境目に設けられることがある。
ガイドレール 開口の左右に付く縦のレール。シャッターの上下の動きを案内する。
設計図書 建物の図面や仕様書など、設計の内容をまとめた書類。
作成:日本シャッターサービスセンター
運営:ジャパン合同会社。施工事例やご相談前の確認事項を掲載しています。

防火シャッターのご相談

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建物の状況とあわせてお知らせください。

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検査で指摘された内容、メーカー名、手動・電動の種類などが分かれば、あわせてお知らせください。

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