建物の管理者・オーナーの方へ
高速シートシャッターの導入を検討するときの確認事項
防ぎたいものの整理、停電時と避難の考え方、操作と安全、設置場所の条件、導入後の点検まで

フォークリフトが行き来するたびに出入口が開いたままになり、空調が効きにくい。作業場にほこりや虫が入るのを減らしたい。こうした悩みから、高速シートシャッターの導入を検討する工場や倉庫は少なくありません。
高速シートシャッターは、シート状のカーテンを速く開け閉めすることで、出入口が開いている時間を短くするための設備です。ただし、鋼製のシャッターと同じように考えて導入すると、思わぬところで困ることがあります。とくに大切なのが、停電のときの扱いと、避難の経路です。
高速シートシャッターは、目的と停電時の扱いを先に確認してから選ぶことが大切です。 この記事では、導入を検討している設備担当者の方に向けて、決めておきたいことと注意点をまとめます。
高速シートシャッターの導入を検討している方へ
開口の寸法や使い方、電動にするかどうかを現地で確認し、合うシャッターをご提案します。現地調査・お見積もりは無料です。新設・防火・法人の工事には5年間の施工保証が付きます。
高速シートシャッターが使われる場面
一般社団法人 日本シヤッター・ドア協会の資料では、高速シートシャッターは、シート状のカーテンを高速で開閉させるもので、精密部品、食品関係、医薬品など、空調管理が必要でほこりや虫を嫌う工場の出入口や間仕切りに使われていると紹介されています。
たとえば、次のような場所で検討されることがあります。
- 温度を保ちたい作業場と、外気に近い荷さばき場の境目
- ほこりを入れたくない製造エリアの出入口
- 虫の侵入を減らしたい食品工場の搬入口
- フォークリフトが頻繁に行き来する倉庫内の間仕切り
共通しているのは、「出入りは多いが、開けたままにはしたくない」場所だということです。
反対に、出入りが1日に数回しかない出入口や、夜間の戸締まりが主な目的の出入口では、ほかの種類のシャッターのほうが合うこともあります。高速シートシャッターありきで考えず、出入口の使われ方から検討することが大切です。
「何を防ぎたいか」を先に整理する
導入の目的によって、確認しておきたい点が変わります。まずは、その出入口で何を防ぎたいのかを整理しましょう。
| 防ぎたいもの | 確認しておきたいこと |
|---|---|
| 空調の流出・外気の流入 | 出入口の両側の温度差、開いている時間をどこまで減らしたいか |
| ほこり | 製造エリアの清浄さの要求、出入口の前後の動線 |
| 虫 | 夜間の照明、出入口の周りの環境、ほかの防虫対策との組み合わせ |
| におい・音 | 隣接するエリアの用途 |
導入の後に効果を確かめたい場合は、導入の前の状態を記録しておくと比べやすくなります。たとえば、作業場の温度や、出入口が開いている時間の長さを、分かる範囲で控えておきましょう。
鋼製のシャッターとは役割が違う
高速シートシャッターは、出入りが多い時間帯に開けている時間を短くすることが得意な設備です。一方で、夜間や休日の戸締まり、風雨への備えをどうするかは、別に考える必要があります。外壁の出入口では、既存の鋼製のシャッターを残して、その内側に高速シートシャッターを設ける組み合わせを検討する場合もあります。
防火の指定がある開口部
間仕切りや外壁の開口が、防火区画や延焼のおそれのある部分にかかっていることもあります。その場合に求められる防火設備は、建物の用途や規模、開口の位置で決まり、扱いは特定行政庁によって異なります。高速シートシャッターを付ける予定の開口に防火の指定がないか、設計図書や設計者に先に確かめておきましょう。
停電のときと、避難の考え方
導入の前に、必ず確認しておきたいのが停電のときの扱いです。

日本シヤッター・ドア協会は、高速シートシャッターの設置時の注意事項として、次の点を示しています。
| 業界団体が示す注意事項 | 導入の前に確認すること |
|---|---|
| 停電のときは開閉できず、閉まった状態では通過できなくなる | 停電のときに、その出入口を通る必要があるか |
| ほかに開口がない場合は、閉じ込められてしまう可能性がある | その部屋やエリアに、ほかの出入口があるか |
| 高速シートシャッターの開口部は避難口として使用できない | ドアを併設するなどして、避難口を確保できるか |
避難に使えるドアを確保する
とくに、間仕切りに設けて部屋やエリアを区切る場合は注意が必要です。そのエリアの出入口が高速シートシャッターだけになると、停電のときに出られなくなるおそれがあります。人が通れるドアを横に設けるなど、避難の経路を確保したうえで計画しましょう。
停電のときの作業の流れも考えておく
停電のときに開けられないということは、そのあいだ車両や荷物も通れないということです。出荷や搬入が止まると困る出入口では、ほかの出入口に振り替える段取りも決めておくと安心です。
開け閉めの操作と安全の確認
操作の方法は製品によって異なる
開け閉めのきっかけには、スイッチを押す方法や、車両や人の接近を検知して開く方法など、いくつかの考え方があります。どの方法が使えるかや、閉まるまでの時間の設定は製品によって異なります。出入口を通る車両や人の流れを伝えたうえで、合う方法を相談しましょう。
現場の流れに合っているかを確かめる
開くまでに待つ時間が長いと、フォークリフトが出入口の前で止まり、作業の流れが滞ります。反対に、開いている時間が長すぎると、導入の目的である空調やほこりの対策の効果が薄れます。出入りが集中する時間帯や、通る車両の速さを現場の担当者に聞いておき、相談のときにお伝えください。使い始めてから気づいたことは、調整できるかどうかも含めて相談できます。
動きが速い設備だからこそ、ルールを決める
業界団体は、シャッターの下に人や物がないことを確認してから操作するよう呼びかけています。高速シートシャッターは動きが速いため、閉まりかけているところに無理に通り抜けない、出入口の前に荷物を置かない、といったルールを現場で共有しておくことが大切です。新しく配属された人や協力会社の人にも伝えておきましょう。
設置場所の条件

| 設置する場所 | 主に確認すること |
|---|---|
| 外壁の出入口 | 風や雨の影響、夜間の戸締まりの方法 |
| 建物内の間仕切り | 避難に使えるドア、両側の温度差 |
| 既存のシャッターと併設 | 上部と左右のスペース、開け閉めの順番 |
上部・左右・床
一般のシャッターと同じように、上部には巻き取る部分を、左右には枠を取り付けます。天井の高さや梁、配管や照明、左右の壁の幅と下地、床の状態を現地で確認します。既存のシャッターと併設する場合は、2つの設備の部品が重ならないかが大切です。
外壁に付ける場合
業界団体の資料では、外壁の開口部に設置するシャッターには耐風圧性能が必須条件とされています。高速シートシャッターを外壁の出入口に付ける場合は、風の強さや向きを伝えて、設置できるかを相談しましょう。
電源と電気工事
高速シートシャッターは電気で動く設備なので、電源と配線の工事が欠かせません。こうした電気工事は、電気工事士法により資格を持つ人が行うものとされています。どの盤から電源を取るか、検知の装置やスイッチまでの配線をどう通すかを、建物の電気設備の担当者とすり合わせておきましょう。
同じような状況でお困りでしたら、ご相談ください
設置場所、手動・電動の種類、今の状態をお知らせいただくと、確認しやすくなります。写真はLINEで送れます。
費用が変わる要素と、やってはいけないこと
高速シートシャッターの導入は、設置する場所や目的によって工事の内容が変わります。ここでは金額の目安ではなく、費用が変わる主な要素を整理します。
| 費用が変わる要素 | 内容 |
|---|---|
| 大きさ | 開口の幅と高さ |
| 操作の方法 | スイッチの数や位置、検知して開く仕組みの有無 |
| 取り付けの条件 | 上部と左右のスペース、下地の補強、既存のシャッターとの併設 |
| 避難の経路 | ドアの併設などの工事の有無 |
| 電気工事 | 電源の取り方、配線の距離 |
| 作業の条件 | 稼働しながらの工事か、夜間・休日の作業か |
※費用は、シャッターの種類・大きさ・設置状況、部品の取り寄せの有無によって変わります。正確な費用は、現地で状態を確認したうえでお見積もりします。
【やってはいけないこと】
- 避難に使える出入口を確保しないまま、間仕切りを高速シートシャッターだけにする
- 停電のときの扱いを確認しないまま、唯一の出入口に設ける
- 閉まりかけているところを、急いで通り抜ける
- 防火の指定があるか確認しないまま、開口部に設ける
相談の前の準備と、導入後の点検

相談の前に、防ぎたいもの、通る車両や人と1日の回数、停電のときの扱い、ほかの出入口の有無、設置したい場所の写真とおおよその寸法を整理しておくと、検討が進めやすくなります。上部や左右の取り付けの条件については、別の記事も参考になります。
導入後の日常点検
業界団体は、利用者による日常点検と、専門の技術者による定期点検を組み合わせることを勧めています。日常点検では、異音や振動がないか、決まった位置で止まるか、動きがスムーズかを見ておきましょう。開け閉めの回数が多い設備ほど、部品は早く傷みます。止まったり動きがおかしくなったりしたときは、無理に使い続けず相談してください。
日本シャッターサービスセンターでできること

日本シャッターサービスセンターでは、工場・倉庫の出入口や間仕切りへのシャッターの新設を承ります。防ぎたいものと出入口の使われ方を伺い、現地で取り付けの条件を確認してからご案内します。稼働の予定に合わせた工事の日時の調整にも対応します。既存の鋼製のシャッターとの組み合わせもご相談ください。避難に使えるドアの位置は、設計者や建物の管理者と確認しながら進めます。新設・防火・法人向けの工事には、5年間の施工保証が付きます。
よくある質問
高速シートシャッターは、停電のときどうなりますか?
日本シヤッター・ドア協会は、停電のときは開閉できず、閉まった状態では通過できなくなると示しています。ほかに開口がない場合は閉じ込められる可能性もあります。導入前に、停電時にその出入口を通る必要があるかを確認しましょう。
高速シートシャッターを避難口として使うことはできますか?
できません。業界団体は、高速シートシャッターの開口部は避難口として使用できないと注意しています。間仕切りに設ける場合は、人が通れるドアを横に設けるなどして、避難の経路を確保したうえで計画することが大切です。
高速シートシャッターは、どんな出入口に向いていますか?
出入りは多いが開けたままにはしたくない場所に向いています。空調管理が必要で、ほこりや虫を嫌う工場の出入口や間仕切りなどで使われています。出入りが1日に数回の出入口や、夜間の戸締まりが主な目的の出入口では、ほかの種類が合うこともあります。
まとめ
高速シートシャッターは、出入りの多い出入口で、開いている時間を短くするための設備です。導入の前に、空調、ほこり、虫など、何を防ぎたいのかを整理しましょう。夜間の戸締まりや風雨への備えは、別に考える必要があります。
もっとも大切なのは、停電のときの扱いと避難の経路です。業界団体は、停電のときは開閉できず、高速シートシャッターの開口部は避難口として使えないため、ドアを併設するなどして避難口を確保するよう注意を促しています。そのうえで、操作の方法と現場のルール、設置場所の条件、導入後の点検まで決めておくと、安心して使い始められます。
修理の流れや症状ごとの確認は「シャッター修理」、工場・倉庫など法人の建物での工事は「法人向けシャッター工事」、出入口へのシャッターの新設は「シャッターの新設・取り付け」のページもご覧ください。
【付録】この記事で使った用語
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| 高速シートシャッター | シート状のカーテンを速く開け閉めするシャッター。空調管理が必要で、ほこりや虫を嫌う工場の出入口や間仕切りに使われる。 |
| 間仕切り | 建物の中を区切る壁や建具。 |
| 避難口 | 火災などのときに、建物やエリアから外へ逃げるための出入口。 |
| 開口(開口部) | 壁にあいた出入口や窓など、シャッターを付ける部分。 |
| 耐風圧性能 | 風の力に耐える性能。外壁に付けるシャッターで求められる。 |
| 防火設備 | 防火シャッターや防火戸など、火災の広がりを抑えるための設備。 |
| 特定行政庁 | 建築主事を置く自治体。建築に関する扱いを定める。 |
| 電気工事士 | 電気工事士法に基づく、電気工事の作業を行うための資格。 |
| 日常点検 | 使う人が日頃から行う、異音や動きなどの確認。 |