建物の管理者・オーナーの方へ

テナント入居・改装時に注意したい防火シャッターまわり

降下位置に物を置かない、工事で区画や感知器に影響を与えない、管理会社に確認すること

公開日:作成:日本シャッターサービスセンター
ショッピングモールの空きテナント区画を共用部から斜めに写し、区画の前の天井に防火シャッターの細い収まりがあり、その下の床が空いている写真風の画像のイメージ
イメージ画像(AI生成)

テナントビルや商業施設に入居すると、店舗や事務所のレイアウト、内装、什器の配置を決めることに追われます。その中で見落とされやすいのが、天井に収まっている防火シャッターです。普段は閉まることがないため、入居者が存在に気づかないまま、降りてくる位置に棚や荷物を置いてしまうことがあります。

防火シャッターは、いざというときに最後まで閉まりきってはじめて役目を果たします。 物が置かれていたり、改装工事で周りの状態が変わったりすると、閉まりきらないおそれがあります。

この記事では、テナントとして入居・改装する方と、立ち会う管理会社の方に向けて、防火シャッターまわりで気をつけたいことと、事前に確認しておきたいことをまとめます。

テナント入居・改装で防火シャッターまわりを確認したい方へ

作動後の復旧、閉まらない・勝手に降りるといった不具合、定期検査で指摘された箇所の是正、予備電源の交換まで、防火シャッターのご相談を承ります。点検・法定の定期検査を行える資格者が複数在籍しています。

防火シャッターの点検・修理・定期検査について見る →

防火シャッターは「普段見えない区画の境目」

防火シャッターは、火災のときに閉まり、炎や煙が広がるのを抑えるための設備です。建物の中を一定の範囲で区切る、防火区画の境目などに設けられています。

普段は天井や壁の中に収まっているため、床には何も見えません。そのため、どこまでが通路で、どこに物を置いてよいかの判断を、見た目だけで行うと間違えやすくなります。入居する区画の中や、区画の出入口の近くに防火シャッターがあるかどうかは、まず図面と管理会社への確認で把握しましょう。

管理会社が保管している図面や、入居時に受け取る資料に、防火シャッターの位置が示されていることがあります。図面だけで分からない場合は、内覧のときに天井を見上げ、開口の上にシャッターの収まりがないかを、管理会社の担当者と一緒に確認するとよいでしょう。

防火シャッターは、煙や熱を感知する装置と組み合わさって作動する仕組みのものがあります。シャッター本体だけでなく、天井の感知器や、制御の装置も含めて一つの設備として働いていると考えてください。

降下位置に物を置かない

法令と消防の案内

消防法では、防火対象物の管理について権原を有する者に対し、防火戸についてその閉鎖の支障になる物件が放置され、またはみだりに置かれないように管理することを求めています。東京消防庁も、シャッターが下りてくるところに荷物などを置くと完全に閉まらず、炎や煙が広がってしまうため、物を置いてはいけないと案内しています。

国の検討会の資料では、倉庫の火災で、防火シャッターの降下位置に物が残っていたことが、区画の機能が損なわれた要因の一つとして挙げられています。小さな物でも、閉まりきらなければ隙間から炎や煙が広がります。

防火シャッターの降下位置(横から見た図)

置いてしまいがちな物

入居や営業の中で、つい置いてしまいがちな物を整理します。

場面 置いてしまいがちな物
搬入・納品 台車、段ボール箱、パレット
営業中 商品棚、ワゴン、看板、のぼり
事務所 ロッカー、書類箱、コピー用紙の箱
清掃・片付け ごみ袋、清掃用具、古紙の束

「少しの間だけ」「営業時間中だけ」のつもりでも、火災はいつ起きるか分かりません。降下位置には、時間を問わず物を置かないようにしましょう。

動かせるワゴンやのぼりは、営業中に少しずつ位置がずれて、降下位置にかかることがあります。閉店時に元の場所へ戻すことも含めて、置き場所を決めておきましょう。

改装工事で区画や感知器に影響を与えない

改装工事では、物を置くこと以外にも、防火シャッターの働きに影響を与えるおそれがあります。内装業者に依頼する場合も、防火シャッターの位置を図面で共有し、工事の範囲にかからないかを事前に確認してもらいましょう。

間仕切り・天井・什器の配置

間仕切りの壁や天井の仕上げ、造り付けの什器が、シャッターの降下位置やガイドレールにかかってしまうと、閉まりきらない原因になります。天井を張り替える工事では、シャッターケースの点検口がふさがれないかも確認が必要です。

感知器や制御の装置

防火シャッターと連動する感知器の近くに間仕切りや設備を新しく設ける工事や、感知器や配線を移設・撤去する工事は、防火シャッターの作動にかかわるおそれがあります。テナントの判断だけで進めず、管理会社を通じて確認してください。

危害防止装置

防火シャッターには、閉まるときに人が挟まれる事故を防ぐための危害防止装置が付いているものがあります。閉まるときの動きを妨げないよう、降下位置のまわりには物や設備を設けないことが大切です。

【やってはいけないこと】

  • 防火シャッターの降下位置に、棚やカウンター、看板を設ける
  • 感知器や配線を、管理会社に確認せずに移設・撤去する
  • 天井の工事で、シャッターケースの点検口をふさぐ
  • 動作を確かめるために、防火シャッターを自分で閉鎖させる

入居・改装の前に管理会社と確認すること

防火シャッターまわりの扱いは、建物によって異なります。入居や改装の前に、次の点を管理会社と確認しておきましょう。

入居・改装の前に管理会社と確認すること
確認すること 内容
防火シャッターの位置 区画の中や出入口の近くにあるか、図面で確認する
物を置かない範囲 降下位置と、その前後で物を置けない範囲
工事の影響 間仕切り・天井・感知器・配線・点検口にかかわる工事か
消防への届出 届出が必要か、誰が出すか
点検・検査の時期 定期点検・定期検査の時期と、立会いの方法

前のテナントの設備が残っている場合

居抜きで入居する場合、前のテナントが設けた棚やカウンター、看板が残っていることがあります。残された設備が降下位置にかかっていないか、感知器の近くを間仕切りでふさいでいないかを、入居前に管理会社と一緒に確認しておきましょう。引き渡しの前に扱いを決めておくと、入居後のやり直しを防げます。

消防への届出

テナントの入居や改装では、消防への届出が必要になる場合があります。たとえば東京消防庁では、工事を行う場合は工事に着手する日の7日前までに「防火対象物工事等計画届出書」を、工事を行わない場合は使用を開始する日の7日前までに「防火対象物使用開始届出書」を出すよう案内しています。建築確認の手続きを経た工事では不要とされる場合もあります。

届出の種類や時期は、地域の条例と建物の状況によって異なります。東京消防庁の管轄外では、建物を管轄する消防本部・消防署に確認してください。あわせて、誰が、いつまでに届出を出すのかを、工事業者や管理会社と工事の前に決めておきましょう。

定期点検・定期検査への協力

対象の建物では、防火シャッターなどの防火設備について、所有者・管理者が資格者に定期検査をさせ、結果を特定行政庁へ報告します。対象の範囲や時期は特定行政庁によって異なります。点検や検査の日にテナントの区画へ立ち入る必要がある場合もあるため、立会いの方法を決めておくとスムーズです。制度の違いは別の記事で解説しています。

同じような状況でお困りでしたら、ご相談ください

設置場所、手動・電動の種類、今の状態をお知らせいただくと、確認しやすくなります。写真はLINEで送れます。

費用が変わる要素

防火シャッターの点検や修理、工事に伴う確認は、建物と製品の条件によって内容が変わります。ここでは金額の目安ではなく、費用が変わる主な要素を整理します。

費用が変わる要素 内容
作業の種類 保守点検、法定の定期検査、修理・部品交換のどれか
台数と設置場所 区画内・共用部の台数、設置されている階や高さ
関連する装置 感知器や制御の装置の確認・調整が必要か
不具合の状態 物がぶつかった跡や変形があるか
作業の条件 営業時間外の作業か、入館の手続き、立会いの有無

※費用は、シャッターの種類・大きさ・設置状況、部品の取り寄せの有無によって変わります。正確な費用は、現地で状態を確認したうえでお見積もりします。

工事の発注や費用の負担を、テナントと貸主・管理会社のどちらが行うかは、契約や建物のルールによって異なります。工事の前に確認しておきましょう。進め方は「管理物件のシャッター工事で確認すること」でも解説しています。

日本シャッターサービスセンターでできること

日本シャッターサービスセンターでは、防火シャッターの保守点検、法定の定期検査、修理・部品交換のご相談を承ります。防火シャッターの点検・法定の定期検査を行える資格者が複数在籍し、防火シャッターの点検・検査は年間約500件の実績があります。

テナントのバックルームで、積んだ段ボール箱が防火シャッターの降りる位置から離して置かれ、その床が空いている様子を低い位置からのイメージ
イメージ画像(AI生成)

入居や改装に合わせて、防火シャッターの状態を確認したい、物がぶつかって動きが気になるといったご相談も承ります。現地で製品と設置状態、連動する装置を確認し、必要な対応をご案内します。テナントの方からのご相談の場合も、管理会社・建物オーナーとの調整を前提に進めます。新設・防火・法人の工事には5年間の施工保証が付きます。

入居後も続けたい日頃の管理

入居時に確認しても、営業を続けるうちに物が置かれてしまうことがあります。日頃の管理で、閉まりきる状態を保ちましょう。

入居後の日頃の管理

従業員に伝える

従業員やアルバイトが入れ替わると、置いてはいけない場所だと知らないまま物を置いてしまうことがあります。入社時の説明や店舗のマニュアルに、降下位置を加えておきましょう。床に表示を付ける場合は、建物のルールがあるため管理会社と相談してください。

搬入や閉店作業の後に見る

台車や段ボールは、搬入や閉店作業のときに置かれがちです。作業の後に、降下位置に何も残っていないかを確認する習慣をつけると安心です。

気になることは早めに相談する

台車や荷物をぶつけた、レールの周りが変形しているように見えるといった場合は、自分で直そうとせず、管理会社を通じて相談してください。物がぶつかった跡は、普段は開けたままのシャッターでは気づきにくいものです。いつ、何がぶつかったかをメモしておくと、点検や修理の相談のときに状態を確認しやすくなります。

よくある質問

防火シャッターが閉まる位置に、少しの間だけ荷物を置いても問題ありませんか?

「少しの間だけ」のつもりでも、火災はいつ起きるか分からないため、降下位置には時間を問わず物を置かないでください。シャッターが下りてくるところに物があると完全に閉まらず、隙間から炎や煙が広がるおそれがあります。

テナントの改装工事で、防火シャッターまわりに注意すべきことは何ですか?

間仕切りや天井、造り付けの什器がシャッターの降下位置やガイドレールにかかると、閉まりきらない原因になります。天井工事ではシャッターケースの点検口をふさがないよう注意が必要です。感知器や配線にかかわる工事は、テナントの判断だけで進めず管理会社を通じて確認してください。

入居や改装の前に、管理会社へ何を確認しておけばよいですか?

防火シャッターの位置、物を置かない範囲、間仕切り・天井・感知器・配線・点検口にかかわる工事かどうかを確認してください。消防への届出が必要か、誰が出すか、点検・検査の時期と立会いの方法もあわせて確認しておくと安心です。

まとめ

防火シャッターは普段は見えないため、入居や改装のときに見落とされがちです。降下位置には時間を問わず物を置かないこと、間仕切りや天井、感知器にかかわる工事は管理会社に確認してから進めることが基本です。消防への届出の要否や、点検・検査の時期と立会いも、入居や工事の前に確認しておきましょう。

届出や検査の扱いは、地域と建物によって異なります。分からないことは、管理会社や管轄の消防署、特定行政庁に確認するのが確実です。入居時の確認と、日頃の小さな習慣の積み重ねが、いざというときにシャッターが閉まりきる状態を保ちます。

修理の流れや症状ごとの確認は「シャッター修理」、防火シャッターの点検・検査・修理は「防火シャッター」、店舗や事務所、管理物件のシャッター工事は「法人向けシャッター工事」のページもご覧ください。

【付録】この記事で使った用語

用語 説明
防火シャッター 火災のときに閉まり、炎や煙が広がるのを抑えるためのシャッター。普段は開けたまま使う。
降下位置 防火シャッターが閉まるときに、カーテンが降りてくる床の位置。
防火区画 火災が広がらないように、建物の中を一定の範囲で区切ること。
防火戸 火災のときに閉まり、炎の広がりを抑える扉やシャッターなど。
防火対象物 消防法の対象となる建物など。
感知器 煙や熱を感知する装置。防火シャッターと連動して自動で閉める仕組みのものがある。
危害防止装置 防火シャッターが閉まるときに、人が挟まれる事故を防ぐための装置。
点検口 天井などに設けられた、内部の設備を点検するための開口。
特定行政庁 建築に関する行政を担う自治体。定期報告の対象や時期を定め、報告を受ける。
作成:日本シャッターサービスセンター
運営:ジャパン合同会社。施工事例やご相談前の確認事項を掲載しています。

防火シャッターのご相談

点検・検査・修理のご相談は、
建物の状況とあわせてお知らせください。

東京・神奈川・千葉・埼玉での防火シャッターのご相談を承ります。建物の用途と所在地、設置場所と台数を分かる範囲でお知らせください。

検査で指摘された内容、メーカー名、手動・電動の種類などが分かれば、あわせてお知らせください。

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