建物の管理者・オーナーの方へ

防火シャッターの危害防止装置とは|既存の建物で確認したいこと

求められるようになった時期と対象、古い建物での確認の手順、点検・検査で見られるポイントまで

公開日:作成:日本シャッターサービスセンター
公共ホールの明るいロビーから隣の空間へつながる広い開口があり、その上に防火シャッターの収まりが見える様子を斜めからのイメージ
イメージ画像(AI生成)

防火シャッターは、火災のときに自動で降りて炎や煙の広がりを抑える設備です。一方で、降りてくるシャッターに人が挟まれると大きな事故につながるおそれがあります。

そのため、いまの基準では、防火シャッターが閉まるときに周囲の人の安全を確保することが求められています。そのための仕組みが「危害防止装置」です。

ただし、基準ができる前に設置された防火シャッターには、危害防止装置が付いていないものがあります。 古い建物を管理している方は、まず自分の建物がどちらなのかを確かめることが大切です。

この記事では、設備・総務の担当者や建物の管理会社の方に向けて、危害防止装置の概要と、既存の建物で確認したいこと、点検や検査で見られるポイントをまとめます。

危害防止装置とは

危害防止装置は、閉まる途中の防火シャッターが人に触れたときに、閉鎖の動きを止めるための仕組みです。

代表的なのは、シャッターの最下端に感知板を付けた方式です。降りてくる途中で感知板が人に触れると、シャッターは降下を止めます。その後、人がいなくなると再び降り始め、完全に閉まります。

危害防止装置の動き

ここで大切なのは、「止まったまま」にはならない点です。防火シャッターは、火災のときに閉まって役目を果たす設備です。人の安全を守りつつ、最終的には閉鎖する動きになっています。

国土交通省の告示で定められた検査の項目にも、危害防止装置用の予備電源や、危害防止用の連動中継器の配線が含まれています。見た目はシャッターの一部でも、電気で動く装置として管理が必要です。

求められるようになった時期と対象

一般社団法人 日本シヤッター・ドア協会によると、平成17年(2005年)7月の建築基準法施行令の改正により、同年12月1日から「閉鎖作動時の危害防止機構等の設置」が義務づけられました。

根拠は建築基準法施行令第112条です。防火設備は閉鎖または作動をするときに、周囲の人の安全を確保できるものであることが定められています。具体的な基準は国土交通省の告示で定められ、閉まるときの運動エネルギーなどの考え方が示されています。

確認したいこと 内容
改正の時期 平成17年(2005年)7月の施行令改正、同年12月1日から施行
根拠 建築基準法施行令第112条と、関係する国土交通省の告示
求められる内容 閉鎖・作動の際に、周囲の人の安全を確保できること
主な対象 人の通行の用に供する部分に設ける防火シャッター・防火戸など

対象は「人が通る部分」の防火設備

国土交通省の資料では、構造の基準として、人の通行の用に供する部分の防火扉などに危害防止装置の設置を求めていると説明されています。通路や出入口など、人が通る場所の防火シャッターが中心になります。

同協会の案内でも、義務化の対象は防火シャッターや防火戸などを新たに設置する場合とされています。つまり、施行より前から付いている防火シャッターに、自動的に装置が付くわけではありません。

一律には判断できない

建物の用途や増築・改修の履歴、設置場所によって扱いが変わることがあります。自分の建物の防火シャッターが対象かどうかは、一律に「付いていなければ違反」「古いから不要」とは言えません。定期検査の報告書や、特定行政庁(建物がある自治体の建築の窓口)で確認するのが確実です。

既存の建物で確認したいこと

まずは、建物と防火シャッターの状況を整理しましょう。次の順番で確認すると分かりやすくなります。

既存の建物で危害防止装置を確認する流れ
手順 確認すること ポイント
① 設置時期 建物の竣工や、防火シャッターの設置・交換の時期 平成17年12月より前か後かが目安になる
② 報告書の控え 防火設備の定期検査の報告書・検査結果 危害防止装置の項目の記載や指摘を確認する
③ 装置の有無 下端の感知板、予備電源などがあるか 外から見て分からない場合は専門業者に確認する
④ 増築・改修の履歴 施行後に増築や改修をしたか 扱いが変わることがあるため、特定行政庁に確認する

定期検査での扱いの例

このように、判定の考え方は報告書の記載に表れます。報告書の控えは、状況を知るためのいちばんの手がかりです。

報告書が見つからないとき

管理を引き継いだ建物では、報告書の控えがどこにあるか分からないこともあります。前の管理会社やオーナーに、点検や検査の記録が残っていないかを聞いてみましょう。それでも分からない場合は、現地で製品と装置の有無を一緒に確認します。

付いていない場合の考え方

危害防止装置が付いていない防火シャッターについて、自治体が安全対策を呼びかけている例があります。京都市は、平成17年11月以前に設置された防火シャッターには装置が付いていないものが多いとして、早めの安全対策を案内しています。

その中では、危害防止機構の設置のほか、降下中に音声で知らせる装置、注意灯、危険を知らせる表示、降下位置の表示などが挙げられています。

後付けできるかは、製品と状態しだい

既存の防火シャッターに装置を設けられるかどうかは、製品の種類や大きさ、取り付けの状態、連動する装置の構成によって変わります。本体の状態によっては、交換をあわせて検討することもあります。現地で製品と状態を確認してから、方法をご案内します。

対策を考える順番

まずは、人がよく通る場所の防火シャッターから状況を整理するのが現実的です。通路や出入口、売り場の境目など、人が立ち止まったり物を運んだりする場所は、挟まれる危険を考えておきたいところです。

そのうえで、装置の設置や交換を計画するか、表示や注意灯などの対策を先に行うかを検討します。台数が多い建物では、場所ごとに優先順位を付けて、予算や工事の時期を分けて進める方法もあります。どの対策が必要かは建物ごとに異なるため、報告書の内容と現地の状況をあわせて判断します。

賃貸物件やテナントビルでは、工事の前に管理会社やオーナーの承認が必要な場合があります。早めに確認しておきましょう。

【やってはいけないこと】

  • 装置の有無を確かめるために、防火シャッターを自分で閉鎖させる
  • 降りてくるシャッターの下をくぐる、手や物で止めようとする
  • 感知器や制御盤を自分で操作する、配線に触れる
  • 検査で指摘された危害防止装置の不具合を、次の検査まで放置する

点検・検査で確認されるポイント

防火設備の定期検査の項目は、国土交通省の告示で定められています。危害防止装置に関係する主な項目は次のとおりです。

検査で見られること 内容
閉鎖時の運動エネルギー 閉鎖時間を測って確認する。10ジュールを超えると指摘の対象
停止距離 人に触れてから止まるまでの距離。5センチメートルを超えると指摘の対象
連動中継器の配線 劣化、損傷、脱落がないか
予備電源の状態 変形、損傷、著しい腐食がないか
予備電源の容量 試験スイッチなどで容量の不足がないか

なお、国土交通省は令和7年7月1日施行の告示改正で、防火扉などの危害防止装置の検査項目を、人の通行の用に供する部分のものに限ることを明確にしました。構造の基準と検査の基準をそろえるための見直しです。報告時期や様式など、手続きの細かな点は特定行政庁によって異なります。

法定の定期検査は、決められた時期に行うものです。検査と検査の間に予備電源が弱ったり、配線が傷んだりすることもあります。保守点検もあわせて行い、次の検査を待たずに不具合に気づける状態にしておくと安心です。

防火シャッターの下端(座板)が、何も置かれていない石張りの床のすぐ上で止まっている様子を床すれすれの高さからのイメージ
イメージ画像(AI生成)

同じような状況でお困りでしたら、ご相談ください

設置場所、手動・電動の種類、今の状態をお知らせいただくと、確認しやすくなります。写真はLINEで送れます。

費用が変わる要素と、相談の前に伝えること

危害防止装置の対策や修理は、製品や設置の条件によって内容が大きく変わります。ここでは金額の目安ではなく、費用が変わる主な要素を整理します。

費用が変わる要素 内容
作業の種類 点検、部品交換、装置の設置、本体の交換のどれか
台数と設置場所 対象となる防火シャッターの台数、設置されている階や位置
製品と大きさ 製品の種類、おおよその寸法、設置された時期
連動する装置 感知器、連動制御器、予備電源などの構成
作業の条件 作業できる曜日・時間帯、入館の手続き、通行の制限

※費用は、シャッターの種類・大きさ・設置状況、部品の取り寄せの有無によって変わります。正確な費用は、現地で状態を確認したうえでお見積もりします。

相談のときは、建物の用途と所在地、防火シャッターの台数と場所、設置や竣工のおおよその時期、検査の報告書に書かれた内容を分かる範囲でお知らせください。見積書の見方は、修理見積もりの記事も参考になります。

日頃の管理で気をつけること

危害防止装置は、付いていれば安心というものではありません。働く状態を保つことが大切です。

危害防止装置まわりの日頃のチェック

予備電源の交換時期を把握する

日本シヤッター・ドア協会は、危害防止機構には定期的な蓄電池の交換が必要としています。前回の交換時期を記録しておき、点検のときに確認してもらいましょう。

閉まる位置に物を置かない

シャッターが降りる位置に荷物や台車、看板があると、閉まりきらない原因になります。テナントや従業員の入れ替わりのときに、あらためて伝えておくと安心です。

利用する人に知らせておく

同協会は、防火シャッターの危険性を利用者に知らせることも大切な対策としています。防火シャッターの位置と、作動したら下をくぐらないことを、社内やテナントに共有しておきましょう。

まとめ

危害防止装置は、閉まる途中の防火シャッターが人に触れたときに止まり、人がいなくなると再び閉まるための仕組みです。平成17年(2005年)12月1日から、新たに設置する防火シャッターなどに求められるようになりました。

既存の建物では、設置の時期と定期検査の報告書を確認し、装置の有無と指摘の内容を整理することから始めましょう。扱いは建物の履歴や特定行政庁によって異なるため、分からない点は窓口や専門業者に確認するのが確実です。

防火シャッターの点検・検査・修理・交換は「防火シャッター」、複数台や複数の物件をまとめたご相談は「法人向けシャッター工事」のページもご覧ください。

【付録】この記事で使った用語

用語 説明
危害防止装置 閉まる途中の防火シャッターなどが人に触れたときに、閉鎖の動きを止めるための仕組み。
感知板 シャッターの最下端に付き、人や物に触れたことを検知する部品。
予備電源 危害防止装置などに使われる蓄電池。定期的な交換が必要。
連動中継器 危害防止装置などの信号を伝えるための機器。
運動エネルギー 閉まるときのシャッターが持つ勢いの大きさ。検査で確認される。
既存不適格 建てた当時は基準に合っていたが、その後の基準の改正で現在の基準に合わなくなった状態。
要是正 定期検査で、直す必要があると判定されたこと。
特定行政庁 建築に関する行政を担う自治体。定期報告の対象や時期を定め、報告を受ける。
告示 法令の内容を具体的に定めるために、国土交通省などが出す決まり。
作成:日本シャッターサービスセンター
運営:ジャパン合同会社。施工事例やご相談前の確認事項を掲載しています。

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