建物の管理者・オーナーの方へ
ビル・施設管理者のためのシャッター日常点検チェックリスト
一般のシャッターと防火シャッターで見る項目、安全な確かめ方、異常に気づいたときの対応

シャッターの点検を専門業者に頼んでいても、業者が建物に来るのは限られた日だけです。その間に起きた小さな変化、たとえば開け閉めの音が変わった、止まる位置がずれてきた、防火シャッターの下に荷物が置かれるようになった、といったことに最初に気づけるのは、毎日建物にいる管理担当者です。
日常点検は、専門業者の点検を置き換えるものではなく、その間をつなぐものです。 見る項目と確かめ方を決めておけば、特別な道具や知識がなくても続けられます。
この記事では、ビルや施設の管理担当者に向けて、一般のシャッターと防火シャッターのそれぞれで日頃確認したい項目を、チェックリストの形でまとめます。
日常点検の役割
業界団体の日本シヤッター・ドア協会は、防火シャッター・防火扉の点検を「日常点検」と「定期点検」に分けて説明しています。日常点検は建物の管理者が行うもので、普段と違う音、見た目、動作などの変化に注意することとされています。定期点検は、専門の知識と技術を持つ技術者が行うものです。
建築基準法第8条も、建物の所有者・管理者・占有者に、建物や設備を適法な状態に保つよう努めることを求めています。日頃の確認は、その維持保全のいちばん身近な取り組みです。
点検を始める前に決めること
日常点検は、続けられる形にすることが大切です。始める前に、次のことを決めておきましょう。
- 対象:どの場所の、どのシャッターを見るか(一般か防火かも分けておく)
- 見る人:管理担当者か、警備・清掃の委託先か、店舗やテナントの担当者か
- タイミング:毎日の開け閉めのとき、巡回のとき、など建物の運用に合わせる
- 記録:日付、場所、気づいたこと、写真の有無を書く欄
- 連絡先:異常に気づいたときに、誰に、どう伝えるか
見る人が複数いる建物では、項目を同じ用紙や画面にそろえておくと、気づいたことを比べやすくなります。
委託先やテナントと分担するとき
警備や清掃の委託先、テナントの担当者に見てもらう場合は、何を見てほしいか、気づいたら誰に伝えるかを書面で共有しておきましょう。「異常があったら使用を止めて連絡する」という一点だけでも決めておくと、気づいた人が自己判断で操作を続けることを防げます。
一般のシャッターのチェックリスト
搬入口や店舗の入口など、毎日開け閉めするシャッターは、使うたびに状態を確かめられます。日本シヤッター・ドア協会の案内では、利用者が行う日常の点検として、次のような項目が挙げられています。

| 確認すること | 見るポイント |
|---|---|
| 表示ラベル | 脱落、破れ、はがれがないか |
| 音 | 開け閉めのときに、いつもと違う音がしないか |
| 振動 | 開け閉めのときに、振動がないか |
| 変形 | 外から見て、へこみやゆがみがないか |
| 止まる位置 | 全開・全閉で止まるか、止まる位置が変わっていないか |
| 周りの状態 | シャッターの下や、レールのまわりに物がないか |
「いつもと違う」に気づくために
音や動きは、普段の状態を知っていてはじめて変化に気づけます。担当者が替わる建物では、正常なときの音や開け閉めにかかる時間を、引き継ぎのときに伝えておくとよいでしょう。電動シャッターの止まり方がおかしいときの確認は、こちらの記事も参考になります。
手動シャッターで気づきやすいこと
手で開け閉めするシャッターでは、重さの変化が分かりやすい手がかりになります。以前より持ち上げるのに力がいる、途中で引っかかる、下ろすときに勢いがつくといった変化は、記録しておきましょう。重さの原因と対応は、こちらの記事で解説しています。
防火シャッターのチェックリスト
防火シャッターは、普段は開けたまま使い、火災のときに閉まる設備です。日頃の開け閉めがないため、日常点検では「閉まるときの妨げがないか」を中心に見ます。

| 確認すること | 見るポイント |
|---|---|
| 閉まる位置 | 荷物、台車、商品棚、看板などが置かれていないか |
| 固定の状況 | 開いた状態で固定されていないか |
| 周りの表示 | 床の表示などが見えにくくなっていないか |
| 外観 | 天井まわりに、外から見て変形などがないか |
国土交通省の資料では、消防法第8条の2の4に関連して、避難や防火戸の閉鎖の支障になる物件を放置・存置しないよう管理することが示されています。管理の着眼点として、物品の放置によって防火扉や防火シャッターの閉鎖に支障がないこと、防火扉や防火シャッターが開放状態に固定されていないことが挙げられています。
テナントや従業員が入れ替わると、閉まる位置だと知らずに物を置いてしまうことがあります。巡回のたびに、閉まる位置の床が空いているかを見るだけでも、日常点検として十分な意味があります。
改装や催事のときは特に注意する
テナントの改装や、売り場の催事、荷物の一時的な仮置きがあるときは、普段は空いている場所に物が置かれやすくなります。工事や催事の予定が分かったら、閉まる位置に物を置かないことを、事前に関係者へ伝えておきましょう。終わった後にも、元の状態に戻っているかを確認します。
安全に確かめるための注意
日常点検は、安全に行える範囲にとどめることが前提です。日本シヤッター・ドア協会の案内では、使い方について次のような注意が示されています。
- 操作する前に、シャッターの下に人がいないこと、物がないことを確認する
- 開け閉めの途中で、人や車が出入りしない
- 動作中はそばを離れず、止まるまで目を離さない
- 台風などの強風時には、シャッターに近づいたり動かしたりしない
防火シャッターについては、動きを確かめるために自分で閉めることは避けてください。降りてくるシャッターの下に入ると危険なうえ、感知器などの装置に触れると、意図しない作動につながるおそれがあります。動作の確認は、専門業者の点検や法定の定期検査で行います。
異常に気づいたら
日本シヤッター・ドア協会の案内では、従来と違う異音がする、動きがスムーズでない、止まる位置が変わったといった異常があれば、速やかに使用を中止するよう示されています。
使用を止めたら、日付、場所、気づいたこと、いつから続いているかを記録し、写真を撮っておきましょう。シャッターが途中で止まっている場合は、離れた場所から撮れば十分です。そのうえで、点検や修理を依頼している会社に相談してください。相談のときは、次の内容を伝えると状態の確認が早く進みます。
- 建物の所在地と、シャッターの設置場所
- 一般のシャッターか、防火シャッターか
- 手動か電動か、製品の表示
- 気づいたことと、いつから続いているか
- 使用を止めているかどうか
【やってはいけないこと】
- 異音や引っかかりに気づいたまま、使い続ける
- 途中で止まったシャッターを、力ずくで上げ下げする
- 防火シャッターを、動作の確認のために自分で閉める
- 気づいたことを記録せず、口頭の報告だけで済ませる
同じような状況でお困りでしたら、ご相談ください
設置場所、手動・電動の種類、今の状態をお知らせいただくと、確認しやすくなります。写真はLINEで送れます。
専門業者の点検・法定の検査との役割分担
日常点検で見られるのは、外から分かる範囲の変化です。内部の部品や装置の状態は、専門業者の点検で確認します。

日本シヤッター・ドア協会は、防火シャッター・防火扉について6か月に1回以上の定期点検を推奨しています。また、建築基準法第12条に基づく定期報告制度では、対象となる建物の防火設備について資格者が検査を行い、所有者・管理者が特定行政庁へ報告します。たとえば埼玉県の案内では、防火設備の報告間隔は1年とされ、消防法に基づく点検とは別の制度であると説明されています。対象の範囲や時期は特定行政庁によって異なるため、所在地ごとに確認してください。
日常点検の記録は、専門業者の点検や検査のときに役立ちます。いつから、どんな変化があったかが分かると、状態の確認が早く進みます。
費用が変わる要素
点検や修理の費用は、作業の種類や台数、作業の条件によって変わります。ここでは金額の目安ではなく、主な要素を整理します。
| 費用が変わる要素 | 内容 |
|---|---|
| 作業の種類 | 保守点検、法定の定期検査、修理・部品交換のどれか |
| 台数と設置場所 | 建物内の台数、設置されている階や位置 |
| 製品と大きさ | 一般・防火の別、手動・電動、おおよその寸法 |
| 不具合の状態 | 部品の交換で済むか、本体の交換が必要か |
| 作業の条件 | 作業できる時間帯、入館の手続き、立会い |
※費用は、シャッターの種類・大きさ・設置状況、部品の取り寄せの有無によって変わります。正確な費用は、現地で状態を確認したうえでお見積もりします。

日本シャッターサービスセンターでは、ビル・商業施設・工場・倉庫・管理物件のシャッターの保守点検、修理・部品交換のご相談を承ります。防火シャッターの点検・法定の定期検査を行える資格者が複数在籍し、防火シャッターの点検・検査は年間約500件の実績があります。日常点検で気づいたことの記録や写真をお知らせいただければ、現地確認の進め方をご案内します。
まとめ
シャッターの日常点検は、専門業者の点検の間をつなぐ、建物の管理者の取り組みです。始める前に、対象、見る人、タイミング、記録、連絡先を決めておきましょう。一般のシャッターでは、表示ラベル、異音、振動、変形、全開・全閉で止まるかを確認します。防火シャッターでは、閉まる位置に物がないこと、開いた状態で固定されていないことを中心に見ます。異常に気づいたら使用を中止し、記録と写真を残して相談してください。防火シャッターを自分で閉めて試すことは避けましょう。
日常点検、専門業者の保守点検、法定の定期検査は、それぞれ役割が異なります。3つを組み合わせることで、いざというときに働くシャッターを保ちやすくなります。
修理の流れや症状ごとの確認は「シャッター修理」、一般のシャッターの点検や、複数の建物の管理のご相談は「法人向けシャッター工事」、防火シャッターの点検・法定の定期検査は「防火シャッター」のページもご覧ください。
【付録】この記事で使った用語
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| 日常点検 | 建物の管理者が日頃行う確認。普段と違う音、見た目、動作などの変化に注意する。 |
| 定期点検(保守点検) | 専門の知識と技術を持つ技術者が、部品や装置の状態を確認する点検。 |
| 防火シャッター | 火災のときに閉まり、炎や煙が広がるのを抑えるためのシャッター。普段は開けたまま使う。 |
| 維持保全 | 建物や設備を、適法で安全な状態に保つための点検や修繕。 |
| 定期報告制度 | 建築基準法第12条に基づき、対象の建物の防火設備などを資格者が検査し、所有者・管理者が特定行政庁へ報告する制度。 |
| 特定行政庁 | 建築に関する行政を担う自治体。定期報告の対象や時期を定め、報告を受ける。 |
| 感知器 | 煙や熱を感知する装置。防火シャッターと連動して自動で閉める仕組みのものがある。 |
| 表示ラベル | シャッター本体や操作盤に貼られた、使い方や注意を示すラベル。 |