建物の管理者・オーナーの方へ
工場・倉庫・店舗のシャッター点検計画の立て方
台帳のつくり方、法定検査の対象との区別、点検の頻度、優先順位、記録の残し方

工場や倉庫、複数の店舗を管理していると、シャッターの数は思った以上に多くなります。搬入口の重量シャッター、店舗の入口のシャッター、建物の中の防火シャッター。それぞれの状態を把握できているかと聞かれると、自信を持って答えられない担当者の方も多いのではないでしょうか。
不具合が出てから対応する管理では、止まったときの影響が大きくなります。 搬入口のシャッターが開かなければ出荷が止まり、防火シャッターの不具合は火災のときまで気づかれないことがあります。
この記事では、法人の設備担当者の方に向けて、シャッターの点検計画を立てる手順をまとめます。台帳をつくり、法定の定期検査の対象とそれ以外を分け、頻度と優先順位を決め、記録を残す。この順番で進めると、全体を無理なく管理しやすくなります。
複数のシャッターの点検をまとめて依頼したい方へ
店舗・工場・倉庫・ビル・管理物件のシャッター工事を承ります。稼働の予定や立会いの条件を伺い、工事できる日時と範囲を整理してからお見積もりします。新設・防火・法人の工事には5年間の施工保証が付きます。
なぜ点検計画が必要か
建築基準法第8条では、建物の所有者・管理者・占有者は、建物の敷地や構造、建築設備を常に適法な状態に維持するよう努めなければならないとされています。一定の用途・規模の建物などでは、必要に応じて維持保全に関する準則や計画を作成することも求められます。どの建物が該当するかは、建物の用途や特定行政庁の指定によって異なります。
法令の求めに加えて、計画を立てておくと、実務の面でも次のような利点があります。
- 搬入口や店舗の入口が使えなくなる前に、不具合に気づきやすくなる
- 修理や交換の時期が重ならないよう、予算を前もって組みやすくなる
- 担当者が替わっても、状態と経緯を引き継ぎやすくなる
また、法定の定期検査の対象となる防火シャッターがある建物では、報告の時期を逃さないことも計画の目的の一つです。
まず台帳をつくる
点検計画の土台になるのが、シャッターの台帳です。拠点ごと、建物ごとに、設置されているシャッターを一覧にします。最初から完璧を目指す必要はありません。分かる項目から埋めていきましょう。

| 台帳の項目 | 記入する内容 |
|---|---|
| 管理番号と設置場所 | 拠点・建物・階・場所を図面と対応させる |
| 種類 | 一般のシャッターか、防火シャッターか |
| 操作の方式 | 手動か電動か |
| 製品の表示 | 本体や操作盤のラベルに書かれた情報 |
| 法定検査の対象か | 対象かどうか、報告の時期 |
| 使い方 | 1日のおおよその開閉回数、業務での重要度 |
| 点検・修理の履歴 | 直近の点検日、指摘、修理の内容 |
番号は図面と合わせる
管理番号は、建物の図面にも同じ番号を書き込んでおくと、点検や修理の依頼のときに場所を伝えやすくなります。現地にも番号を表示する場合は、建物のルールに沿って行ってください。
現地を回って確かめる
台帳を図面や過去の書類だけでつくると、実際の設置状況とずれていることがあります。改装で撤去したはずのシャッターが残っていたり、後から付けたシャッターが漏れていたりするためです。一度は現地を回り、図面と照らし合わせながら確認しましょう。防火シャッターかどうか分からないものは印を付けておき、点検のときに確認してもらうと確実です。
法定の定期検査の対象と、それ以外を分ける
台帳をつくったら、法定の定期検査の対象となる防火設備と、それ以外のシャッターを分けて管理します。
建築基準法第12条に基づく定期報告制度では、対象となる建物の防火設備について、一級建築士・二級建築士・防火設備検査員などの資格者が検査を行い、所有者・管理者が結果を特定行政庁へ報告します。報告の時期は、法令で示された「おおむね6か月から1年まで」の間隔の範囲で特定行政庁が定めることとされ、たとえば埼玉県の案内では防火設備の報告間隔は1年とされています。対象の範囲や時期、手続きは特定行政庁によって異なるため、所在地ごとに確認してください。
| 項目 | 法定の定期検査の対象となる防火設備 | それ以外のシャッター |
|---|---|---|
| 根拠 | 建築基準法第12条の定期報告制度 | 法定の定期検査・報告の対象ではない |
| 実施する人 | 防火設備検査員などの資格者 | 依頼先との取り決めによる |
| 時期 | 特定行政庁が定める時期 | 使い方に合わせて決める |
| 行政への報告 | 所有者・管理者が特定行政庁へ報告 | 報告の義務はない |
防火シャッターかどうか、法定の検査の対象かどうかが分からない場合は、過去の報告書の控えや管理会社への確認、特定行政庁の窓口で確かめます。
この定期報告は、消防法に基づく消防用設備等の点検とも別の制度です。同じ建物の中で、建築と消防の点検・検査がそれぞれ行われていることがあるため、台帳には「どの制度の、どの点検か」を分けて書いておくと混乱しません。
制度の違いは、こちらの記事で詳しく解説しています。
点検の頻度の考え方
防火シャッター
法定の定期検査の対象となる防火シャッターは、まず特定行政庁が定める時期に検査と報告を行います。そのうえで、業界団体の日本シヤッター・ドア協会は、防火シャッター・防火扉について6か月に1回以上の定期点検を推奨しています。法定の検査とは別に、保守点検の時期を年間の計画に入れておくと、次の検査を待たずに不具合に気づきやすくなります。
一般のシャッター
搬入口や店舗の入口など、防火設備ではない一般のシャッターは、法定の定期検査・報告の対象ではないため、点検の頻度は建物側で決めることになります。業界団体も、経年による部品の消耗に備えて定期的な保守点検を勧めています。開閉の回数、屋外か屋内か、業務での重要度を依頼先に伝え、相談して頻度を決めるのが現実的です。
たとえば、1日に何度も開け閉めする搬入口と、閉店時だけ使う店舗の入口とでは、部品の傷み方が違います。すべてを同じ頻度で点検するより、使い方に応じて差をつける方が、限られた予算を生かしやすくなります。
日常点検
専門業者による点検とは別に、日頃の観察も大切です。業界団体の案内では、表示ラベルの確認、開閉の様子、異音や振動の有無などを日常点検の例として挙げています。現場の担当者が気づいたことを台帳の担当者に伝える流れを決めておきましょう。
優先順位のつけ方
台数が多いと、すべてを同時に点検・修理するのは難しくなります。次の3つの視点で優先順位をつけると、予算と時期を割り振りやすくなります。

| 視点 | 考えること | 優先度が高い例 |
|---|---|---|
| 安全 | 人がそばを通るか、事故につながるおそれがあるか | 急に下がる、傾く、異音が続く |
| 防火 | 火災のときに閉まる必要があるか | 検査で指摘を受けた防火シャッター |
| 業務 | 止まったときに業務への影響が大きいか | 出荷の要になる搬入口、店舗の入口 |
複数の視点に当てはまるシャッターから順に、点検や修理の時期を決めていきます。予算が限られる場合も、優先度の高いものから計画に入れ、対応を保留した項目は台帳に残しておきましょう。
古いシャッターと安全装置
業界団体は、防火シャッターの危害防止装置について平成17年12月以降に着工した建物で設置が義務となったこと、それより前の建物にも設置を勧めていることを案内しています。一般のシャッターについても、障害物を感知する装置の設置を推奨しています。古いシャッターは、安全装置の有無も優先順位を考える材料にしましょう。
【やってはいけないこと】
- 異音や傾きに気づいたまま、使用を続ける
- 動作を確かめるために、防火シャッターを自分で閉鎖させる
- 法定の検査を受けているから、ほかの点検は不要と考える
- 修理の記録を残さず、同じ不具合の繰り返しに気づかない
電動シャッターが途中で止まる場合の確認と対応は、こちらの記事も参考になります。
記録の残し方
点検計画は、記録が積み重なってはじめて役に立ちます。点検や修理のたびに、次の内容を台帳に書き足していきましょう。
| 残す項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施日と実施者 | いつ、どの会社が、どの制度の点検・検査を行ったか |
| 結果と指摘 | 指摘の有無と内容、報告書の控えの保管場所 |
| 対応 | 修理・部品交換の内容、見積書と完了の書類 |
| 次の予定 | 次の点検・検査の時期、対応を保留した項目 |

書類はシャッターごとにたどれるように
報告書や見積書は、日付順に綴じるだけでなく、台帳の管理番号から探せるようにしておくと便利です。データで管理する場合も、紙の控えの保管場所を台帳に書いておきましょう。見積書の項目の見方は、こちらの記事で解説しています。
引き継ぎを前提にする
設備担当者の異動や、管理会社の変更は珍しくありません。台帳と記録を一つの場所にまとめておけば、後任の方がすぐに全体を把握できます。引き継ぎの際は、台帳に加えて、点検の依頼先の連絡先、契約の内容、次の点検の予定も一緒に渡すようにしましょう。
気づいたことも書き残す
点検のときだけでなく、現場で気づいた異音や動きの変化も、日付とあわせて書き残しておきましょう。ささいな変化の記録が、修理の相談のときに状態を伝える手がかりになります。
同じような状況でお困りでしたら、ご相談ください
設置場所、手動・電動の種類、今の状態をお知らせいただくと、確認しやすくなります。写真はLINEで送れます。
費用が変わる要素と、日本シャッターサービスセンターでできること
点検や修理の費用は、台数や製品、作業の条件によって変わります。ここでは金額の目安ではなく、費用が変わる主な要素を整理します。
| 費用が変わる要素 | 内容 |
|---|---|
| 作業の種類 | 保守点検、法定の定期検査、修理・部品交換のどれか |
| 台数と拠点 | 点検する台数、拠点や建物の数と所在地 |
| 製品と大きさ | 一般・防火の別、手動・電動、おおよその寸法 |
| 関連する装置 | 感知器や制御の装置の確認が必要か |
| 作業の条件 | 稼働を止められる時間帯、入館の手続き、立会い |
※費用は、シャッターの種類・大きさ・設置状況、部品の取り寄せの有無によって変わります。正確な費用は、現地で状態を確認したうえでお見積もりします。

日本シャッターサービスセンターでは、工場・倉庫・店舗など事業用のシャッターの保守点検、修理・部品交換、新設のご相談を承ります。防火シャッターの点検・法定の定期検査を行える資格者が複数在籍し、防火シャッターの点検・検査は年間約500件の実績があります。
複数台・複数の拠点をまとめてのご相談も、台数と所在地をお知らせいただければ、現地確認の進め方をご案内します。稼働の予定を伺い、作業できる日時と範囲を整理してからお見積もりします。新設・防火・法人の工事には5年間の施工保証が付きます。
よくある質問
シャッターの点検計画は、何から始めればよいですか?
まず、拠点や建物ごとにシャッターの台帳をつくります。管理番号と設置場所、一般か防火か、手動か電動か、製品の表示、法定検査の対象か、点検・修理の履歴を、分かる項目から埋めていきましょう。最初から完璧でなくて構いません。
防火シャッターと一般のシャッターで、点検の考え方は違いますか?
違います。法定の定期検査の対象となる防火設備は、特定行政庁が定める時期に検査と報告を行います。一般のシャッターは法定の検査・報告の対象ではないため、開閉の回数や重要度を伝えて依頼先と相談し、頻度を建物側で決めます。
台数が多く、一度に点検や修理ができない場合はどう優先順位をつけますか?
安全、防火、業務の3つの視点で考えます。急に下がる、傾く、異音が続くもの、検査で指摘を受けた防火シャッター、出荷の要になる搬入口などが優先度の高い例です。保留した項目も台帳に残しておきましょう。
まとめ
シャッターの点検計画は、台帳づくりから始まります。設置場所と種類を一覧にし、法定の定期検査の対象となる防火設備と、それ以外のシャッターを分けて管理しましょう。法定の検査は特定行政庁が定める時期に行い、時期や対象は所在地によって異なります。そのうえで、保守点検と日常点検の頻度を使い方に合わせて決め、安全・防火・業務の視点で優先順位をつけ、点検や修理のたびに記録を残します。
一度にすべてを整える必要はありません。分かるところから台帳を埋め、点検や修理のたびに少しずつ更新していくことが、無理のない管理につながります。
修理の流れや症状ごとの確認は「シャッター修理」、複数の拠点や台数をまとめた点検・修理の相談は「法人向けシャッター工事」、防火シャッターの点検・法定の定期検査は「防火シャッター」のページもご覧ください。
【付録】この記事で使った用語
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| 台帳 | 設置されているシャッターを一覧にし、場所・種類・点検の履歴などをまとめた管理表。 |
| 維持保全 | 建物や設備を、適法で安全な状態に保つための点検や修繕。 |
| 定期報告制度 | 建築基準法第12条に基づき、対象の建物の防火設備などを資格者が検査し、所有者・管理者が特定行政庁へ報告する制度。 |
| 特定行政庁 | 建築に関する行政を担う自治体。定期報告の対象や時期を定め、報告を受ける。 |
| 防火設備検査員 | 防火設備の定期検査を行う資格者の一つ。 |
| 保守点検 | 所有者・管理者が任意で依頼する点検。動作や部品の状態を確認し、不具合を早めに見つける。 |
| 日常点検 | 建物の管理者や現場の担当者が、日頃の使用の中で行う観察。 |
| 危害防止装置 | 防火シャッターが閉まるときに、人が挟まれる事故を防ぐための装置。 |
| 重量シャッター | 倉庫や工場の搬入口などに使われる、大型で丈夫なシャッター。 |