建物の管理者・オーナーの方へ

定期検査の対象になる防火設備の範囲(防火シャッター・防火戸など)

対象になる防火設備、対象外になりうるもの、常時閉鎖式の防火扉の扱い、対象かどうかの確かめ方まで

公開日:作成:日本シャッターサービスセンター
商業ビルの広い共用通路の天井に防火シャッターが収まり、通路わきには開いた状態の防火戸がある様子のイメージ
イメージ画像(AI生成)

防火設備の定期検査を依頼しようとして、「どの防火シャッターと防火戸を検査してもらえばよいのか」で手が止まる管理担当者の方は少なくありません。建物の中には、天井に収まったシャッター、壁ぎわで開いている扉、いつも閉まっている扉など、さまざまな防火設備があります。

建物が定期報告の対象でも、その中のすべての防火設備が検査の対象になるとは限りません。 反対に、対象外だと思っていた扉が対象に含まれることもあります。

この記事では、防火設備の定期検査・報告の対象になる防火設備の範囲を、設備の種類ごとに整理します。対象外になりうるもの、令和7年7月から見直された常時閉鎖式の防火扉の扱い、対象かどうかの確かめ方もまとめます。

対象を決める2つの段階

防火設備の定期検査・報告は、建築基準法第12条にもとづく制度です。対象となる防火設備を資格者が検査し、その結果を所有者・管理者が特定行政庁へ報告します。

対象は、2つの段階で決まります。

1つ目は、建物が対象かどうかです。国の政令と告示で一律に定められた建物のほか、特定行政庁が地域の実情に応じて対象を定めることができます。

2つ目は、その建物にある防火設備のうち、どれが対象かです。国の告示では、定期調査の対象となる建物と、病院・診療所や高齢者などの就寝用途の部分の床面積が200㎡以上の建物に設ける防火設備のうち、「随時閉鎖又は作動をできるもの(防火ダンパーを除く。)」を対象としています。

「随時閉鎖」とは、普段は開いていて、火災のときに熱や煙を感知して自動で閉まる方式のことです。つまり、この制度の中心は、普段は開いていて、いざというときに閉まる・作動する防火設備です。

「建築基準法にもとづいて設けたもの」が前提

東京都のQ&Aでは、厨房に随時閉鎖するシャッターがある場合について、建築基準法にもとづいて設置されたものが対象で、確認申請書などで設置の根拠を確かめるよう案内しています。見た目が似ていても、設けた理由によって扱いが変わることがある点に注意が必要です。

対象になる主な防火設備

対象になる防火設備の種類は、国の様式に用意されている検査結果表の種類と対応しています。

定期検査の対象になる主な防火設備と、対象外になりうるもの
種類 どんな設備か 検査結果表
防火扉 普段は開いていて、火災のときに閉まる扉 防火扉の検査結果表
防火シャッター 天井などに収まり、火災のときに降りて閉まるシャッター 防火シャッターの検査結果表
耐火クロススクリーン 布状の幕が降りて区画するもの 耐火クロススクリーンの検査結果表
ドレンチャー等 水の幕をつくって火炎をさえぎるもの ドレンチャーその他の水幕を形成する防火設備の検査結果表

見落としやすい例

東京都のQ&Aでは、次のようなものも対象になるとしています。

  • 温度ヒューズで閉まる方式の防火設備
  • 普段は引き戸式の自動ドアとして使い、火災のときに自動で閉まる防火扉
  • 随時閉鎖する防火扉に付いているくぐり戸(防火扉の一部として検査する)
  • テナントが設置して所有・管理している防火設備

また、建物の一部が対象の用途であれば建物全体が対象となり、対象の用途ではない部分にある防火設備も検査・報告の対象になるとしています。事務所の階や倉庫の部分にある防火シャッターも、数え漏れがないようにしましょう。

防火シャッターと防火戸の違いや、性能の区分については、次の記事で解説しています。

対象外になりうるもの

次のものは、東京都のQ&Aで防火設備の定期検査・報告の対象にならない、または検査項目が限られるとされている例です。

もの 東京都のQ&Aでの扱い
防火ダンパー 建築設備の定期検査の対象で、防火設備の定期検査の対象ではない
煙感知器と連動する防煙垂れ壁 防火設備ではないため対象ではない
消火設備の防護区画だけに使う防火設備 対象ではない。ただし防火区画を兼ねる場合は対象
常時閉鎖の状態で維持管理する防火設備 対象としなくてもよいが、報告書に添付する図面にその旨を書く
共同住宅の住戸内 検査の対象から除かれる。住戸の外から検査できる項目は検査する

ここで大切なのは、「対象外」と言い切れるのは、制度の上で外れることがはっきりしているものだけだという点です。たとえば防火ダンパーは、防火設備の検査からは外れても、建築設備の定期検査で扱われます。検査そのものが不要になるわけではありません。

また、表は東京都の案内にもとづく例です。扱いは特定行政庁によって異なることがあるため、建物の所在地の案内で確かめてください。

常時閉鎖式の防火扉の扱い(令和7年7月から)

常時閉鎖式の防火扉(常閉防火扉)は、普段から閉じた状態にしておく防火扉です。これまでは主に、建物の定期調査(特定建築物定期調査)の中で確認されてきました。

国の告示改正(令和7年7月1日施行)にあわせた国土交通省の資料では、各階の主要な常閉防火扉を、防火設備の定期検査で検査する形に見直しています。主要なものの原則として、避難経路に設けられたもの、吹抜けに面して設けられたもの、日常の通行が多く開け閉めの頻度が高いもの、が挙げられています。

一方で、特定行政庁が規則で、この項目を建物の定期調査に加えた場合は、防火設備の定期検査による検査を省略できるともされています。そのため、所在地によって扱いが分かれています。

常時閉鎖式の防火扉(常閉防火扉)の扱いの例
案内の例 常閉防火扉の扱い
東京都 引き続き特定建築物の定期調査の対象とし、防火設備の定期報告では検査を要しない
埼玉県 改正前と変わらず、建物の調査の対象
千葉県 各階の主要なものは、防火設備定期検査の対象

同じ関東でも、扱いが異なることが分かります。神奈川県内をはじめ、ここに挙げていない行政庁の扱いは、各行政庁のページで確認してください。制度は見直されることがあるため、最新の情報は各特定行政庁のページで確かめることをおすすめします。

対象かどうかを確かめる手順

対象の防火設備を確かめるときは、次の順番で進めると整理しやすくなります。

対象かどうかを確かめる手順
手順 確認すること ポイント
① 前回の報告書 検査結果図に示された防火設備の位置と種類 報告書には配置図や各階の平面図が添付される
② 確認申請書・図面 建築基準法にもとづいて設けた防火設備か 増築や改装のあとは、図面が更新されているかも確認する
③ 現地の数え上げ 種類ごとの台数、図面との違い テナント区画の中や、普段使わない階も含める
④ 特定行政庁の案内 建物が対象か、常閉防火扉の扱い、提出先 所在地によって扱いが異なる

棟と報告のまとまりも確かめる

東京都のQ&Aでは、報告は原則として建築基準法上の棟ごとに行い、敷地に別棟があれば建物ごとに報告するとしています。また、1つの建物に複数のメーカーのシャッターがあっても、メーカーごとに分けず、1つの建物に1つの報告にするよう案内しています。数え上げは、棟ごとにまとめておきましょう。

増築・改装で防火設備が増えたとき

東京都のQ&Aでは、増築した建物の次回の報告について、既存の部分は前回の報告から1年以内に報告し、増築した部分は検査済証の交付を受けた年度の翌々年度以降から、既存の部分とあわせて報告するとしています。増築や改装のあとは、一覧に加える時期もあわせて確かめておくと安心です。

前回の報告書が見当たらない場合や、建物の対象・報告の時期から確かめたい場合は、次の記事も参考になります。

【やってはいけないこと】

  • 見た目だけで「これは防火設備ではない」と決めて、一覧から外す
  • 防火設備を動かして確かめようとして、感知器や手動閉鎖装置を操作する
  • テナント区画の防火設備を「テナントの持ち物だから」と数えずに済ませる
  • 閉まったままの扉を、図面に書かずに検査の対象から外す

同じような状況でお困りでしたら、ご相談ください

設置場所、手動・電動の種類、今の状態をお知らせいただくと、確認しやすくなります。写真はLINEで送れます。

費用が変わる要素と、日本シャッターサービスセンターでできること

対象の範囲がはっきりすると、検査の段取りや費用の見通しも立てやすくなります。ここでは金額の目安ではなく、費用が変わる主な要素を整理します。

費用が変わる要素 内容
対象の台数と種類 防火扉・防火シャッター・耐火クロススクリーンなどの数
設置場所 設置されている階や位置、テナント区画の中か
連動する装置 感知器、連動制御器、予備電源などの確認の範囲
書類の状況 前回の報告書や図面の有無、図面と現状の違い
作業の条件 作業できる日時、通行止めの範囲、入館の手続き

※費用は、シャッターの種類・大きさ・設置状況、部品の取り寄せの有無によって変わります。別途、基本料金や作業の時間帯による料金がかかる場合があります。正確な費用は、現地で状態を確認したうえでお見積もりします。

日本シャッターサービスセンターの対応

日本シャッターサービスセンターでは、防火シャッターの保守点検と法定の定期検査、修理・部品交換、新設・交換のご相談を承ります。防火シャッターの点検・法定の定期検査を行える資格者が複数在籍し、防火シャッターの点検・検査は年間約500件の実績があります。

普段は開いている防火戸が廊下の壁ぎわに収まり、床に物が置かれていない様子のイメージ
イメージ画像(AI生成)

前回の報告書や図面をお預かりし、現地で防火設備の種類と台数を一緒に確かめたうえで、検査や修理の内容をご案内します。どれが対象か分からない防火設備があれば、その場所をお知らせください。新設・防火・法人向けの工事には、5年間の施工保証が付きます。

管理会社・建物オーナー、店舗、工場・倉庫の方からのご相談を承ります。複数の物件をまとめてのご相談も、所在地と台数をお知らせいただければ、進め方をご案内します。

台帳を整えておく

対象の範囲を一度確かめたら、防火設備の一覧として残しておきましょう。次の検査の準備がぐっと楽になります。

防火設備の一覧をつくる

場所、種類、随時閉鎖か常時閉鎖か、テナント区画かどうかを一覧にします。階ごとに図面の位置と対応させておくと、報告書の検査結果図との照合もしやすくなります。

変更があったら書き足す

増築や改装、テナントの入れ替えで防火設備が増えたり、位置が変わったりすることがあります。工事のたびに一覧と図面を更新しておきましょう。

引き継ぎで渡す

担当者や管理会社が替わるときは、一覧と報告書の控えをまとめて渡します。保守点検との違いを整理しておきたい場合は、次の記事も参考になります。

まとめ

防火設備の定期検査・報告の対象は、建物が対象かどうかと、その中のどの防火設備かの2段階で決まります。国の告示で対象とされているのは、随時閉鎖または作動できる防火設備(防火ダンパーを除く)で、防火扉、防火シャッター、耐火クロススクリーン、ドレンチャー等が含まれます。

一方で、防火ダンパーや防煙垂れ壁のように、この検査の対象外になりうるものもあります。常時閉鎖式の防火扉は、令和7年7月の見直しのあとも所在地によって扱いが分かれています。前回の報告書と図面、現地の数え上げ、特定行政庁の案内を照らし合わせて確かめましょう。

防火シャッターの点検・修理は「防火シャッター」、定期検査のご依頼は「防火設備の定期検査」のページもご覧ください。

【付録】この記事で使った用語

用語 説明
定期報告制度 建築基準法第12条に基づき、対象の建物や防火設備などを検査・調査し、行政へ報告する制度。
防火設備 防火シャッターや防火戸など、火災の広がりを抑えるための設備。
随時閉鎖 普段は開いていて、火災のときに熱や煙を感知して自動で閉まる方式。
常時閉鎖 普段から閉じた状態にしておく方式。
常閉防火扉 常時閉鎖式の防火扉の略。
耐火クロススクリーン 耐火性のある布状の幕が降りて区画する防火設備。
ドレンチャー 水の幕をつくって火炎をさえぎる防火設備。
防火ダンパー ダクトの中に設け、火災のときに閉じる装置。建築設備の定期検査で扱う。
特定建築物定期調査 建物の敷地・構造・防火・避難などの状況を調べて報告する定期調査。
特定行政庁 建築に関する行政を担う自治体。定期報告の対象や時期を定め、報告を受ける。
検査結果図 定期検査の報告書に添える、防火設備の位置と種類を示した図面。
作成:日本シャッターサービスセンター
運営:ジャパン合同会社。施工事例やご相談前の確認事項を掲載しています。

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建物の状況とあわせてお知らせください。

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検査で指摘された内容、メーカー名、手動・電動の種類などが分かれば、あわせてお知らせください。

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