建物の管理者・オーナーの方へ

防火設備の定期検査報告書の見方

報告書の構成、検査結果表の判定と特記事項の読み方、検査結果図と写真、受け取ったあとにすること

公開日:作成:日本シャッターサービスセンター
建物の管理事務室の机の上に、閉じたファイルと折りたたんだ建物の図面、クリップでまとめた書類の束が整えて置かれている様子のイメージ
イメージ画像(AI生成)

防火設備の定期検査が終わると、検査者から報告書を受け取ります。ところが、何枚もの書類と表、図面、写真が綴じられていて、どこを見ればよいのか分からない、という声をよく聞きます。

報告書は、「結論」「設備ごとの結果」「場所」「写真」の順に読むと迷いません。 書類ごとの役割を知っておけば、指摘があるかどうか、どの防火設備のどこが問題か、次に何をすればよいかが見えてきます。

この記事では、防火シャッターなどの防火設備の定期検査報告書について、書類の構成、各欄の読み方、受け取ったあとに管理担当者が次にすることをまとめます。

報告書は5種類の書類の組み合わせ

防火設備の定期検査・報告は、建築基準法第12条にもとづく制度です。対象となる防火設備を資格者が検査し、その結果を所有者・管理者が特定行政庁へ報告します。報告に使う書類の様式は国が定めており、国土交通省のページでも公開されています。

横浜市の「定期報告必要書類と綴り方」では、防火設備の報告は次の書類で構成すると案内しています。

報告書を構成する5種類の書類
書類 役割
定期検査概要書(第三十六号の九様式) 報告の概要をまとめた書類
定期検査報告書(第三十六号の八様式) 第一面〜第三面。所有者・建物の情報、指摘の概要、検査の状況など
検査結果表 防火設備の種類ごとに、項目別の判定を記載する表
検査結果図 配置図と各階の平面図に、防火設備の位置と種類を示したもの
関係写真 指摘がない場合は省略できるとされている写真

東京都のQ&Aでは、報告は原則として建築基準法上の棟ごとに行い、1つの建物に複数のメーカーの製品があっても、1つの建物に1つの報告にするよう案内しています。手元の報告書がどの棟のものかも、最初に確かめておきましょう。

提出の部数や綴じ方、添付書類は特定行政庁によって異なることがあります。詳しくは、建物の所在地の特定行政庁や受付機関の案内で確認してください。

報告書(第一面〜第三面)の読み方

報告書の本体は3つの面に分かれています。名古屋市や神戸市が公開している記入例をもとに、主な欄を整理します。

面 主な欄 見るポイント
第一面 所有者、管理者、報告対象建築物、検査による指摘の概要 指摘があるかどうかの結論
第二面 建築物の概要、確認済証交付年月日等、検査日等、防火設備の検査者、防火設備の概要、防火設備の検査の状況、防火設備の不具合の発生状況、備考 検査日、防火設備の台数、指摘の概要、改善予定
第三面 防火設備に係る不具合の状況 把握している不具合と改善の状況

第一面で結論をつかむ

まず見るのは、第一面の「検査による指摘の概要」です。「要是正の指摘あり」か「指摘なし」かが示され、要是正の場合は「既存不適格」かどうかもあわせて示されます。ここで、今回の検査に指摘があったかどうかが分かります。

所有者・管理者や建物の名称、所在地も確認しましょう。管理者が替わっているのに前の情報のままになっていないか、建物の名称が変わっていないかも見ておきます。

第二面で検査の状況を確かめる

第二面には、今回と前回の検査日、検査を行った資格者、防火設備の概要が書かれます。防火設備の概要には、防火扉・防火シャッター・耐火クロススクリーン・ドレンチャー等の数が記載されます。手元の一覧と台数が合っているかを確かめてください。

「防火設備の検査の状況」には、指摘の有無、指摘の概要、改善予定の有無と時期の欄があります。「防火設備の不具合の発生状況」には、不具合の有無、不具合の記録の有無、改善の状況の欄があります。

第三面で不具合の記録を見る

第三面には、不具合を把握した年月、不具合の概要、考えられる原因、改善(予定)年月、改善措置の概要などが表で書かれます。日頃の保守点検や故障の記録が、ここに反映されているかを見ておきましょう。

検査結果表の読み方

検査結果表は、防火扉、防火シャッター、耐火クロススクリーン、ドレンチャー等の種類ごとに分かれています。項目は国の告示で定められていて、防火シャッターであれば、設置場所の周囲の状況、駆動装置、カーテン部、ケース、まぐさ・ガイドレール、危害防止装置、連動制御器、予備電源、総合的な作動の状況などが並びます。

検査結果表の見方
欄 書かれること 読み方
検査結果 項目ごとに「指摘なし」「要是正」、該当する場合は「既存不適格」 まず「要是正」の項目を探す
担当検査者番号 その項目を検査した資格者 質問するときの手がかりになる
特記事項 番号、検査項目等、指摘の具体的内容等、改善策の具体的内容等、改善(予定)年月 指摘の中身と改善の見通しを読む

引き戸や袖扉は、どの表に書かれるか

東京都のQ&Aでは、引き戸タイプの防火設備は防火扉の検査結果表を使い、袖扉と連動する防火シャッターは、袖扉の部分を防火扉の表、シャッターの部分を防火シャッターの表で検査するとしています。探している設備が見当たらないときは、別の種類の表も確認してみてください。

「指摘なし」でも特記事項は読む

特記事項には、指摘のある項目だけでなく、注意してほしい点が書かれることがあります。東京都のQ&Aでは、予備電源の容量が足りていれば交換時期を過ぎていても原則として指摘なしとし、特記事項欄に交換時期の経過を書いて交換を促すよう案内しています。手動閉鎖装置がない場合も、原則は指摘なしとし、特記事項欄に記載して設置を促すか、検査者の判断で要是正とすることもできるとしています。

また、共同住宅で感知器が住戸の中にあって作動の検査ができない場合は、その旨を報告書に書くよう案内しています。検査できなかった理由が書かれていないかも、見落とさないようにしましょう。

予備電源の交換の考え方は、次の記事で解説しています。

検査結果図と関係写真の読み方

検査結果図は、配置図と各階の平面図に、防火設備の位置と種類を示したものです。名古屋市の記入上の注意では、防火設備の種類ごとに着色を分けること、常時閉鎖と随時閉鎖も色を分けることなどが示されています。検査結果表で「要是正」とされた設備が、建物のどこにあるかを図で確かめましょう。

関係写真は、名古屋市の記入上の注意では、検査の結果で「要是正」とされた項目のうち、「既存不適格」ではない項目などについて作成するとされています。写真を見ると、指摘の内容を社内に説明しやすくなります。

受け取ったら管理担当者が次にすること

報告書を受け取ったら、次の順番で進めると漏れがありません。

報告書を受け取ってから次の検査までの流れ

分からない点は検査者に聞く

判定の理由や、特記事項に書かれた内容の意味は、検査者に確かめましょう。担当検査者番号や項目名を示すと、話が早く進みます。

期限までに提出する

東京都のQ&Aでは、検査日から1か月以内に報告する必要があるとしています。東京都の「主な報告の流れ」では、報告書2部と概要書を提出し、受付機関と特定行政庁の審査を経て、受付の押印がある報告書1部と報告済証などが返送されるとしています。提出先や期限、部数は特定行政庁によって異なるため、所在地の案内で確かめてください。

控えを保存し、指摘の対応へ進む

返送された報告書は、次の検査まで保存します。東京都の案内では、報告済証の掲示なども報告者の流れに含まれています。要是正の項目がある場合は、仕分けと是正の手配に進みましょう。

【やってはいけないこと】

  • 第一面の「指摘なし」だけを見て、特記事項を読まずに保管する
  • 報告書の台数と、建物の防火設備の数が合わないまま提出する
  • 内容がよく分からないまま、改善予定の時期を決めてしまう
  • 検査日からの提出期限を確かめずに、社内の決裁を後回しにする

同じような状況でお困りでしたら、ご相談ください

設置場所、手動・電動の種類、今の状態をお知らせいただくと、確認しやすくなります。写真はLINEで送れます。

費用が変わる要素と、日本シャッターサービスセンターでできること

報告書を読み終えると、修理や部品交換が必要な項目が見えてきます。ここでは金額の目安ではなく、費用が変わる主な要素を整理します。

費用が変わる要素 内容
指摘・特記事項の内容 部品の交換で済むか、本体の修理・交換が必要か
台数と場所 対象の台数、設置されている階や位置
連動する装置 感知器、連動制御器、予備電源などの交換の有無
製品の状態 部品の手配ができるか、劣化の程度
作業の条件 作業できる日時、通行止めの範囲、入館の手続き

※費用は、シャッターの種類・大きさ・設置状況、部品の取り寄せの有無によって変わります。別途、基本料金や作業の時間帯による料金がかかる場合があります。正確な費用は、現地で状態を確認したうえでお見積もりします。

日本シャッターサービスセンターの対応

日本シャッターサービスセンターでは、防火シャッターの法定の定期検査と保守点検、指摘を受けた項目の修理・部品交換、本体の交換のご相談を承ります。防火シャッターの点検・法定の定期検査を行える資格者が複数在籍し、防火シャッターの点検・検査は年間約500件の実績があります。

防火シャッターが収まる天井まわりと、その下の開いた通路のイメージ
イメージ画像(AI生成)

お手元の報告書や検査結果表をお見せいただければ、指摘や特記事項の内容を伺い、現地で製品と状態を確認したうえで、修理や交換の内容をご案内します。新設・防火・法人向けの工事には、5年間の施工保証が付きます。

次の報告書を読みやすくする準備

報告書は、前回のものと見比べると変化が分かりやすくなります。次の検査に向けて、手元の書類を整えておきましょう。

前回の報告書と並べて保管する

検査結果表と特記事項を前回分と並べておくと、同じ指摘が続いていないか、特記事項の内容が対応済みかをすぐに確かめられます。

特記事項を予定に入れる

交換時期の経過など、特記事項に書かれた内容は、次の検査を待たずに対応の予定を立てておきましょう。

図面と一覧を最新にする

改装やテナントの入れ替えで防火設備の位置や数が変わったら、図面と一覧を更新しておきます。検査結果図との照合がしやすくなります。依頼から報告までの全体の流れは、次の記事でまとめています。

まとめ

防火設備の定期検査報告書は、概要書、報告書(第一面〜第三面)、検査結果表、検査結果図、関係写真の組み合わせです。第一面で指摘の有無をつかみ、検査結果表で項目ごとの判定と特記事項を読み、検査結果図で場所を、写真で状態を確かめる。この順番で読むと迷いません。

読み終えたら、分からない点を検査者に確かめ、期限までに提出し、返送された書類を保存します。要是正の項目や特記事項は、次の検査を待たずに対応を計画しましょう。様式の綴り方や提出先、期限は特定行政庁によって異なるため、所在地の案内で確認してください。

定期検査のご依頼は「防火設備の定期検査」、指摘を受けた防火シャッターの修理・交換は「防火シャッター」のページもご覧ください。

【付録】この記事で使った用語

用語 説明
定期報告制度 建築基準法第12条に基づき、対象の建物や防火設備などを検査・調査し、行政へ報告する制度。
定期検査報告書 防火設備の定期検査の結果を報告する書類。第一面〜第三面からなる。
定期検査概要書 報告の概要をまとめた書類。報告書とあわせて提出する。
検査結果表 防火設備の種類ごとに、検査項目別の判定を記載する表。
検査結果図 配置図と各階平面図に、防火設備の位置と種類を示した図。
要是正 検査で直す必要があると判定された状態。
既存不適格 設置した当時の基準には合っていたが、現在の基準には合わない状態。
特記事項 判定とは別に、指摘の具体的な内容や注意点、改善の予定などを書く欄。
報告済証 報告の受付・審査を経て返送される、報告済みであることを示す書類。
特定行政庁 建築に関する行政を担う自治体。定期報告の対象や時期を定め、報告を受ける。
作成:日本シャッターサービスセンター
運営:ジャパン合同会社。施工事例やご相談前の確認事項を掲載しています。

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