建物の管理者・オーナーの方へ

防火シャッターの連動制御器と予備電源(バッテリー)の点検・交換

閉まるまでの仕組み、予備電源の種類と交換の目安、定期検査で見られる項目、交換の計画の立て方まで

公開日:作成:日本シャッターサービスセンター
建物の共用廊下の壁に扉の閉まった設備の盤が設けられ、天井には防火シャッターのケースが収まっている様子のイメージ
イメージ画像(AI生成)

防火シャッターの点検というと、シャッター本体がきちんと降りるかどうかに目が向きがちです。けれども、火災のときに自動で閉まるかどうかは、本体だけでは決まりません。

煙や熱を感知した信号を受けて閉める指示を出す「連動制御器」と、停電のときに装置を動かす「予備電源」。この2つが正しく働いて、はじめて防火シャッターは役目を果たします。どちらも普段は目立たず、状態の変化に気づきにくい装置です。

予備電源には交換の目安があり、計画的な交換が欠かせません。 この記事では、建物の設備担当者や管理会社の方に向けて、連動制御器と予備電源の仕組み、定期検査で確認される項目、交換の計画の立て方をまとめます。

防火シャッターが閉まるまでの仕組み

煙や熱を感知して自動で閉まる防火シャッターは、いくつかの装置がつながって動きます。国土交通省の資料に掲載された告示では、感知器、連動制御器、自動閉鎖装置、予備電源を備えたものが示されています。

防火シャッターが閉まるまでのつながり
装置 役割
感知器 煙や熱を感知して信号を送る
連動制御器 感知器から信号を受けて、自動閉鎖装置に閉める指示を出す
自動閉鎖装置 指示を受けて、防火シャッターを自動で閉める
予備電源 停電のときなどに、装置を動かすための電源

連動制御器は「指示を出す装置」

連動制御器は、感知器からの信号を受け取り、シャッターを閉める指示を出す装置です。盤の表面には、状態を示す表示灯やスイッチ類が付いていることが一般的です。

予備電源は「停電のときの備え」

火災のときは、建物の電気が止まることがあります。業界団体の資料では、防火区画のシャッターは火災のときに停電でも作動することが建築基準法で定められていると説明されています。その備えが予備電源です。蓄電池を使うため、時間の経過とともに性能が落ちていきます。

予備電源(蓄電池)の種類と交換の目安

防火シャッターに関わる予備電源は、1種類とは限りません。定期検査の項目でも、連動機構用の予備電源と、危害防止装置用の予備電源が分けて挙げられています。

2種類の予備電源
種類 役割 業界団体が示す目安
連動機構用の予備電源 停電のときに、閉める仕組みを動かす シャッター用の非常電源の蓄電池設備は3〜5年に一度の交換
危害防止装置用の予備電源 停電のときに、挟まれを防ぐ仕組みを働かせる 危害防止の仕組みの蓄電池の寿命は約4〜5年

一般社団法人 日本シヤッター・ドア協会は、蓄電池の定期的な交換を呼びかけています。危害防止の仕組みの蓄電池について、交換が行われないと、火災のときや停電のときに正しく作動しなくなると注意を促しています。

ただし、これらは目安です。実際の交換の時期は、製品の種類や設置の環境によって変わります。ご自身の建物の装置について、どの電池がいつ交換されたかを把握しておくことが大切です。

どこに、どの予備電源があるかを把握する

予備電源がどこに収められているかは、製品や建物によって異なります。定期検査の項目でも予備電源ごとに作動を確かめることになっており、複数の防火シャッターが1つの予備電源につながっている建物もあります。

そのため、「防火シャッターが何台あるか」だけでなく、「予備電源がいくつあり、どのシャッターにつながっているか」を把握しておくと、交換の計画が立てやすくなります。図面や点検の報告書に記載があれば、それをもとに一覧にしておきましょう。分からない場合は、点検のときに一緒に確認できます。

交換が遅れると何が起きるか

蓄電池の性能が落ちていても、普段の電気が来ているあいだは、外から見て変化に気づきにくいものです。問題が表に出るのは、停電のときや火災のときです。予備電源に切り替わったときに容量が足りなければ、閉める仕組みや挟まれを防ぐ仕組みが正しく働かないおそれがあります。

「今は問題なく見えるから」と交換を先送りにすると、必要なときに役目を果たせないことになりかねません。普段の様子では判断できない装置だからこそ、時期で管理することが大切です。

定期検査で確認される項目

建築基準法第12条にもとづく定期検査の対象となる防火設備では、国土交通省の告示で検査の項目と方法が定められています。連動制御器と予備電源に関わる主な項目は次のとおりです。

検査の対象 項目 主な確認の方法
連動制御器 スイッチ類と表示灯の状況 目視で、破損がないか、表示灯が点灯するか
連動制御器 結線接続の状況 目視や触診で、断線や端子のゆるみがないか
連動制御器 接地の状況 接地線が接地端子にしっかり接続されているか
連動制御器 予備電源への切り替えの状況 常用の電源を遮断し、自動で予備電源に切り替わるか
予備電源(連動機構用・危害防止装置用) 劣化と損傷、容量の状況 目視、予備電源試験スイッチなどの操作で、変形や腐食、容量の不足がないか
総合的な作動の状況 防火シャッターの閉鎖の状況 感知器を作動させるなどして閉鎖を確認し、予備電源ごとに少なくとも1台以上は予備電源に切り替えた状態で確認する

報告書で「予備電源の容量が不足している」といった指摘を受けた場合は、交換の時期に来ているサインです。対象の範囲や報告の時期は特定行政庁によって異なるため、ご自身の建物が対象かどうかも確認しておきましょう。

報告書で確認したいこと

報告書を受け取ったら、連動制御器と予備電源の欄に指摘がないかを見ておきましょう。指摘があった場合は、どの場所の、どの装置についての指摘かを確認します。台数が多い建物では、シャッターの番号と装置の対応が分かると、修理や交換の範囲を決めやすくなります。

指摘がなかった場合でも、予備電源を交換した年月が分かれば、あわせて控えておくと次の計画に役立ちます。指摘の意味が分からないときは、検査を行った人に説明を求めてください。

管理担当者が日頃できることと、やってはいけないこと

連動制御器や予備電源の点検には、専門の知識と機器が必要です。それでも、管理担当者が日頃から気にかけられることはあります。

「見る」ことはできる

盤の表示灯がいつもと違う状態になっていないか、警報の音が鳴っていないかは、外から見て分かることがあります。いつもの状態を写真に撮っておくと、変化に気づきやすくなります。異常を示す表示に気づいたら、表示の内容と日時を記録して相談してください。

盤のまわりの環境を整える

盤の前に荷物が置かれていると、点検のときに作業ができません。湿気や水漏れ、ほこりがたまりやすい場所にないかも確認しましょう。工事や清掃で盤のまわりの状況が変わったときも、気にかけておくと安心です。

建物の停電を伴う電気設備の工事や、長い停電があった後は、予備電源が使われた可能性があります。その後に表示灯の状態がいつもと違う場合は、早めに相談してください。

【やってはいけないこと】

  • 試験スイッチやボタンを、確認のために自分で操作する(意図しない作動につながる)
  • 警報の音を止めるために、電源やブレーカーを切る
  • 予備電源の蓄電池を、自分で取り外す・交換する
  • 表示灯の異常に気づいたまま、次の点検まで様子見で済ませる

交換を計画的に進める

予備電源は、故障してから交換するのではなく、目安の時期に合わせて計画的に交換するのが基本です。

予備電源の交換を計画する流れ

交換した年月を記録しておく

まずは、装置ごとに予備電源をいつ交換したかを確認します。点検の報告書や工事の記録に残っていることがあります。分からない場合は、点検のときに一緒に確認すると、次の交換の時期を見込みやすくなります。

検査や点検の時期と合わせる

定期検査や保守点検の時期に合わせて交換を予定すると、立会いや入館の手配を1回で済ませやすくなります。台数が多い建物では、年度ごとに交換する装置を分けるなど、予算を平準化する方法もあります。

部品の手配にかかる時間を見込む

製品によっては、交換部品を取り寄せる必要があります。古い装置では、蓄電池だけでなく連動制御器の交換をあわせて検討する場合もあります。見積もりでは、交換の範囲と、別途になる作業を確認しましょう。

費用が変わる要素と、相談の前にそろえるもの

連動制御器や予備電源の交換は、装置の種類や台数によって内容が変わるため、ここでは金額の目安ではなく、費用が変わる主な要素を整理します。

費用が変わる要素 内容
交換の範囲 蓄電池のみか、連動制御器や関連する装置もか
予備電源の種類と数 連動機構用・危害防止装置用、建物内の台数
製品と部品 製品の種類、部品の取り寄せの有無
設置場所 盤の位置、高所作業の有無
作業の条件 作業できる曜日・時間帯、入館の手続き

※費用は、シャッターの種類・大きさ・設置状況、部品の取り寄せの有無によって変わります。正確な費用は、現地で状態を確認したうえでお見積もりします。

相談の前には、定期検査の報告書や指摘の書類、過去の交換の記録、盤の表示の写真、設置場所と台数を、分かる範囲でそろえておくとスムーズです。

日本シャッターサービスセンターでできること

建物の機械室の壁に、扉の閉まった設備の盤が並んでいる落ち着いた様子のイメージ
イメージ画像(AI生成)

日本シャッターサービスセンターでは、防火シャッターの保守点検、法定の定期検査、修理・部品交換、新設・交換のご相談を承ります。連動制御器や予備電源についても、製品と設置の状況を確認したうえで、点検や交換の内容をご案内します。

防火シャッターの点検・法定の定期検査を行える資格者が複数在籍し、防火シャッターの点検・検査は年間約500件の実績があります。検査で指摘を受けた後の交換や、複数の建物の交換の計画づくりもご相談いただけます。新設・防火・法人向けの工事には、5年間の施工保証が付きます。

管理物件で、オーナーや管理組合の承認が必要な場合の進め方は、別の記事で解説しています。

まとめ

防火シャッターが火災のときに自動で閉まるには、感知器、連動制御器、自動閉鎖装置、予備電源が正しく働く必要があります。予備電源は蓄電池を使うため、時間とともに性能が落ちます。業界団体は交換の目安を示し、定期的な交換を呼びかけています。

対象の建物の定期検査では、連動制御器の表示灯や予備電源への切り替え、予備電源の容量などが確認されます。日頃は盤の表示を「見る」ことにとどめ、試験スイッチや電源には触らないようにしましょう。交換した年月を記録し、検査や点検の時期と合わせて計画的に交換していくことが、いざというときの備えになります。

防火シャッターの点検・検査・部品交換は「防火シャッター」、複数の建物や台数をまとめたご相談は「法人向けシャッター工事」のページもご覧ください。

【付録】この記事で使った用語

用語 説明
防火シャッター 火災のときに閉まり、炎や煙が広がるのを抑えるためのシャッター。
感知器 煙や熱を感知する装置。防火シャッターと連動して自動で閉める仕組みのものがある。
連動制御器 感知器からの信号を受けて、自動閉鎖装置に閉める指示を出す装置。
自動閉鎖装置 連動制御器の指示を受けて、防火シャッターを自動で閉める装置。
予備電源 停電のときなどに装置を動かすための電源。蓄電池が使われる。
蓄電池 充電して繰り返し使える電池。時間の経過とともに性能が落ちる。
危害防止装置 閉まる途中で人に触れると止まり、人がいなくなると再び閉まる仕組み。
表示灯 装置の状態を示すランプ。
接地 電気の安全のために、装置を大地とつなぐこと。
定期報告制度 建築基準法第12条に基づき、対象の建物の状態を検査し、行政へ報告する制度。
特定行政庁 建築主事を置く自治体。定期報告の対象や時期を定め、報告を受ける。
作成:日本シャッターサービスセンター
運営:ジャパン合同会社。施工事例やご相談前の確認事項を掲載しています。

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