建物の管理者・オーナーの方へ

防火シャッターの手動閉鎖装置(押しボタン)の役割と点検

壁のボタンは何のためにあるのか、設置場所の考え方、誤って押したとき、いたずら対策、点検で見ること

公開日:作成:日本シャッターサービスセンター
商業ビルの共用通路で、天井に防火シャッターが収まり、その近くの壁に小さな金属製の箱が付いている様子のイメージ
イメージ画像(AI生成)

防火シャッターの近くの壁に、小さな箱やボタンが付いているのを見たことはありませんか。これは多くの場合、火災のときに人の操作で防火シャッターを閉めるための「手動閉鎖装置」です。

普段は触ることがないため、「何のボタンか分からない」「押したらどうなるのか」と聞かれることも少なくありません。手動閉鎖装置を操作すると、防火シャッターは実際に降りてきます。 誤って押した、いたずらで押された、という場面では、慌てて自分で戻そうとしないことが大切です。

この記事では、建物の管理担当者やオーナーの方に向けて、手動閉鎖装置の役割、設置場所の考え方、誤って押してしまったときの対応、いたずら対策、点検や検査で見られることをまとめます。

手動閉鎖装置の役割

防火シャッターは、普段は開けたまま使い、火災のときに閉まって炎や煙の広がりを抑える設備です。建築基準法施行令では、防火区画に用いる防火設備について、随時閉鎖または作動ができることや、煙の発生や急な温度上昇で自動的に閉鎖または作動することなどが求められています。

一般社団法人 日本シヤッター・ドア協会は、防火シャッターが降りるきっかけとして次の3つを挙げています。

防火シャッターが閉まる3つのきっかけ
きっかけ どんなときか
煙感知器・熱感知器との連動 感知器が煙や熱を感知し、自動で閉まる
手動閉鎖装置の操作 火災に気づいた人が、装置を操作して閉める
押しボタンスイッチの操作 普段の開け閉めにも使うシャッターなどで、スイッチで操作する

協会の資料では、防火シャッターの構成として、感知器と連動して閉める自動閉鎖装置とともに、手動で閉鎖させるための手動閉鎖装置が挙げられています。感知器が反応する前に火災に気づいた場合でも、人の判断で区画を閉じられるようにするための装置です。

国土交通省が公開している資料では、閉鎖の流れとして、感知器の感知や手動閉鎖装置などの起動によって作動し、防火シャッターが自重で降下し始める例が説明されています。手動閉鎖装置は、閉鎖を始めるきっかけ(起動)を人の手で与える装置だといえます。操作した後は、シャッターが閉まりきるまで降りてくるものと考えておきましょう。

どのきっかけで閉まったかによって、元に戻す手順も異なります。感知器との連動については「煙・熱感知器と防火シャッターの連動のしくみ」で解説しています。

設置場所の考え方

手動閉鎖装置は、火災のときにすぐ操作できなければ意味がありません。防火設備の定期検査の項目を定めた国土交通省の告示では、手動閉鎖装置の「設置の状況」について、次のような状態を指摘の対象としています。

  • 速やかに作動させることができる位置に設置されていない
  • 周囲に障害物があり、操作ができない
  • 変形、損傷、著しい腐食がある
  • 打ち破り窓のプレートが脱落している

また、業界団体の資料に掲載された技術標準の表では、手動閉鎖装置を設置する高さを床面から800mm以上1,500mm以下としています。具体的な位置は、建物の設計や製品によって決まります。

改装やレイアウト変更で塞がない

設置したときは操作しやすい位置でも、その後の使い方で状況が変わることがあります。棚や什器、自動販売機、パーテーションを装置の前に置いてしまう、内装工事で壁を増やして装置が隠れてしまう、といったケースです。

テナントの入れ替えや改装の計画があるときは、図面に手動閉鎖装置の位置も書き込んでおくと、工事の打ち合わせで見落としにくくなります。装置の移設や新設が必要になりそうな場合は、早めにご相談ください。

誤って押してしまったとき

手動閉鎖装置は、押したり操作したりすると防火シャッターが降りてきます。誤って押した場合も、まずは安全を優先してください。

誤って押してしまったときの対応

まず周りの安全を確保する

降りてくるシャッターの下には入らず、周りの人も離れてもらいます。協会の資料では、危害防止装置が付いたシャッターは、降下中に人が挟まれると停止し、人がいなくなると再び降下を始めて完全に閉まると説明されています。止まったからといって、そのまま下をくぐるのは危険です。

本当に火災ではないかも確かめてください。火災の兆候があれば、避難と119番通報を優先します。

自分で戻そうとしない

協会は、一般的に防火シャッターは管理者や利用者が操作するものではないとしています。復帰の方法は製品のタイプによって異なり、取扱説明書やメーカーで確認するよう案内されています。

手順が分からないまま巻き上げようとすると、装置が待機状態に戻らず、次の火災で閉まらないおそれがあります。閉まった後の復旧の流れは「防火シャッターが作動して閉まった後の復旧の流れ」をご覧ください。

記録しておくこと

日時、押された装置の場所、押した人が分かればその経緯、装置のふたや窓の破損の有無をメモしておきましょう。同じ装置で繰り返し起きている場合は、設置場所や周りの使い方を見直すきっかけになります。

いたずら・誤操作を防ぐために

人の出入りが多い建物では、いたずらや、荷物がぶつかるなどの誤操作が気になるものです。ただし、手動閉鎖装置は火災のときにすぐ使えることが前提です。防ぐための工夫が、いざというときの操作の妨げになっては本末転倒です。

【やってはいけないこと】

  • 鍵付きの箱や板で装置を覆う、ふたが開かないように固定する
  • 目立たないように、ポスターや物で装置を隠す
  • 装置の前に、棚や荷物、看板を置く
  • 破損したふたや窓を、テープなどで応急的にふさいだままにする

いずれも、告示の検査項目にある「速やかに作動させることができる位置」や「周囲に障害物があり操作ができない」といった点に関わるおそれがあります。

できる対策

まずは、知ってもらうことです。テナントや従業員、清掃や警備を担当する会社に、装置の位置と「火災のとき以外は操作しない」ことを伝えておきましょう。入れ替わりがあるたびに伝え直すことが大切です。

次に、周りを片付けておくことです。装置の前に物がなく、通る人の目に入りやすい状態のほうが、荷物がぶつかるような誤操作も起きにくくなります。

そして、ふたや窓が壊れていたら早めに直すことです。変形や損傷は、検査でも指摘の対象になります。どのような対策が取れるかは、製品や設置場所によって異なるため、点検のときにご相談ください。

点検・検査で見ること

建築基準法第12条に基づく定期報告の対象となる建物では、防火設備の定期検査で手動閉鎖装置も確認されます。対象の範囲や報告の時期は特定行政庁によって異なるため、ご自身の建物が対象かどうかは所在地の行政庁で確かめてください。

確認すること 告示の判定基準・資料の内容
設置の位置 速やかに作動させることができる位置にあるか
周りの状態 周囲に障害物があり、操作できない状態になっていないか
装置の傷み 変形、損傷、著しい腐食がないか
打ち破り窓 プレートが脱落していないか
総合的な作動 感知器などを作動させ、防火シャッターが正常に閉まるか

特定行政庁が公開している検査結果表の記入例には、手動閉鎖装置のふたの取っ手が固定されておらず開けられない、という指摘が載っているものもあります。見た目は小さな不具合でも、火災のときに操作できなければ役目を果たせません。

日頃に見ておきたい表示

協会のメンテナンスガイドでは、所有者・管理者が行う日常点検として、手動閉鎖装置の「蓄電池交換時期」が近づいていないか、「非常スイッチ」が点灯・点滅していないかを挙げています。表示の意味は製品によって異なるため、気になる表示があれば写真を撮って相談してください。

検査で指摘を受けたときの進め方は、「定期検査で指摘を受けたときの対応」で解説しています。

同じような状況でお困りでしたら、ご相談ください

設置場所、手動・電動の種類、今の状態をお知らせいただくと、確認しやすくなります。写真はLINEで送れます。

費用が変わる要素と、日本シャッターサービスセンターでできること

手動閉鎖装置の修理や交換、作動後の復旧は、製品や状態によって内容が変わるため、ここでは金額の目安ではなく、費用が変わる主な要素を整理します。

費用が変わる要素 内容
作業の種類 点検、法定の定期検査、復旧、部品の修理・交換、移設
装置の状態 ふたや窓の破損だけか、装置の内部や配線まで確認が必要か
関連する装置 連動制御器、自動閉鎖装置、予備電源の確認が必要か
製品の種類 部品の取り寄せが必要か
台数と設置場所 装置とシャッターの台数、設置されている階や位置
作業の条件 作業できる曜日・時間帯、入館の手続き

※費用は、製品の種類・状態・設置状況、部品の取り寄せの有無によって変わります。作業の時間帯によって料金が変わる場合があります。正確な費用は、現地で状態を確認したうえでお見積もりします。

地下駐車場から建物へ入る開口部の横の壁面に小さな金属製の箱が付き、その前が片付いている様子のイメージ
イメージ画像(AI生成)

日本シャッターサービスセンターでは、防火シャッターの保守点検、法定の定期検査、作動後の復旧、修理・部品交換のご相談を承ります。防火シャッターの点検・検査を行える資格者が複数在籍し、点検・検査は年間約500件の実績があります。

手動閉鎖装置だけを見るのではなく、つながっている自動閉鎖装置や連動制御器、閉まる位置の状態もあわせて確認し、必要な作業をご案内します。誤操作が続く場所では、装置の位置や周りの使い方についてもご相談ください。新設・防火・法人向けの工事には、5年間の施工保証が付きます。

まとめ

手動閉鎖装置は、火災に気づいた人が防火シャッターを閉めるための装置です。押せば実際にシャッターが降りてきます。すぐに操作できる位置にあり、周りに物がないことが大切で、定期検査でも位置や障害物、傷み、打ち破り窓のプレートが確認されます。

誤って押した場合は、降りてくるシャッターから離れ、火災でないことを確かめてから、自分で戻さずに専門業者へ復旧を依頼しましょう。いたずら対策は、装置を覆うのではなく、周知と周りの整理、破損の早めの修理で進めるのが基本です。

防火シャッターの点検・修理は「防火シャッター」、法定の定期検査は「防火設備の点検・検査」のページもご覧ください。

手動閉鎖装置の日頃のチェック

【付録】この記事で使った用語

用語 説明
手動閉鎖装置 火災のときなどに、人の操作で防火シャッターを閉めるための装置。
自動閉鎖装置 連動制御器からの指示を受けて、防火シャッターを自動的に閉める装置。
連動制御器 感知器からの信号を受けて、自動閉鎖装置に閉める指示を出す装置。
押しボタンスイッチ 普段の開け閉めにも使うシャッターなどで、開閉を操作するスイッチ。
打ち破り窓 手動閉鎖装置に設けられている窓。定期検査では、プレートが脱落していないかが確認される。
危害防止装置 降下中のシャッターが人に接触すると止まり、人がいなくなると再び降下する仕組み。
随時閉鎖 必要なときに、いつでも閉められること。
定期報告制度 建築基準法第12条に基づき、対象の建物の防火設備などを検査し、特定行政庁へ報告する制度。
特定行政庁 建築に関する行政を担う自治体。定期報告の対象や時期を定め、報告を受ける。
作成:日本シャッターサービスセンター
運営:ジャパン合同会社。施工事例やご相談前の確認事項を掲載しています。

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建物の状況とあわせてお知らせください。

東京・神奈川・千葉・埼玉での防火シャッターのご相談を承ります。建物の用途と所在地、設置場所と台数を分かる範囲でお知らせください。

検査で指摘された内容、メーカー名、手動・電動の種類などが分かれば、あわせてお知らせください。

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