建物の管理者・オーナーの方へ

停電のとき防火シャッターはどうなるか

停電でも働くための仕組み、停電中の動き、停電の後に確認すること、計画停電や電気設備の点検の前の準備

公開日:作成:日本シャッターサービスセンター
照明が落ち、非常灯のような弱い光だけがある商業ビルの通路で、天井に防火シャッターが収まっている様子のイメージ
イメージ画像(AI生成)

落雷や事故による停電、電気設備の点検に伴う停電。建物の電気が止まったとき、「防火シャッターは閉まってしまうのか」「停電中に火災が起きたら動くのか」と心配になる方は少なくありません。

火災のときは、建物の電気が止まることがあります。そのため、防火シャッターは停電でも働くことを前提に作られています。ただし、それを支える予備電源が弱っていれば、その前提は崩れます。

この記事では、建物の管理担当者や管理会社の方に向けて、停電のときの防火シャッターの仕組みと動き、停電の後に確認すること、計画停電や電気設備の点検で停電させる前に準備しておきたいことをまとめます。

停電でも働くための仕組み

一般社団法人 日本シヤッター・ドア協会の資料では、防火区画に用いるシャッターは、火災の際、停電でも作動することが建築基準法で定められていると説明されています。

停電でも閉まるためのつながり

予備電源を備える

煙で閉まる防火設備の構造方法を定めた国の告示では、感知器、連動制御器、自動閉鎖装置とともに、予備電源を備えることが示されています。予備電源の基準は、別の告示に定める基準によるとされています。

国土交通省のサイトに掲載されている業界団体の資料では、感知器と連動する電気制御の防火シャッターについて、停電時を考慮して連動制御器にバッテリーが内蔵されると説明されています。停電したときに自動的に予備電源へ切り替わるかどうかは、後で触れる定期検査の項目でも確かめられます。

シャッターは自重で降りる

国土交通省が公開している資料では、感知器の感知や手動閉鎖装置などの起動によって作動し、防火シャッターが自重で降下し始める例が説明されています。シャッターを降ろす力そのものは、重さによるものだということです。

一方、感知器が煙や熱をとらえ、連動制御器が指示を出し、自動閉鎖装置が閉鎖させるまでの流れには、電気で動く装置が関わっています。国の告示でも、連動制御器と自動閉鎖装置の電気配線について基準が定められています。停電に備えて予備電源の状態を保っておくことが、防火シャッターが役目を果たすための条件の一つといえます。

停電中の動き(確認できた範囲)

公開されている資料から確認できた範囲で、停電中の動きを整理します。

場面 確認できたこと
停電が起きた 定期検査では、常用電源を遮断して、自動的に予備電源に切り替わるかを確認する
停電中に火災を感知した 予備電源で連動の装置が働き、閉鎖する前提で作られている
降下中に人が接触した 協会の資料では、火災などによる停電時でも危害防止装置は作動するとされている
予備電源が弱っている 協会は、蓄電池を交換しないと停電時に危害防止の仕組みが正しく作動しなくなると注意を促している

停電しただけで閉まるのか

停電しただけで防火シャッターが閉まるかどうかは、今回確認した公的な資料や業界団体の資料では、一律の説明を見つけられませんでした。製品の仕組みや設定によって異なる可能性があるため、ご自身の建物については、設計図書や取扱説明書、点検の報告書で確かめるか、点検のときに確認してください。

停電の後に防火シャッターが降りていた場合は、停電がきっかけなのか、別の原因なのかを分けて考える必要があります。停電と同じ時間帯に感知器の反応や誰かの操作がなかったか、他の防火シャッターはどうだったかも記録しておきましょう。原因を確かめずに戻すと、また同じことが起きるおそれがあります。

停電中に操作しない

協会の資料では、停電を想定した場合、電動のシャッターはボックス部分の手動ハンドルや手動チェーンで開けられると説明されています。一方で協会は、一般的に防火シャッターは管理者や利用者が操作するものではないとしています。手順が分からないまま、防火シャッターを手で巻き上げたり、降ろしたりしないでください。

停電の後に確認すること

電気が戻ったら、それで終わりではありません。東京消防庁のサイトに掲載されている停電時の出火防止対策の資料では、停電から復旧した後は、各消防用設備やその他の防災設備の機能が正常に定常状態に復旧していることを確認するとしています。

停電の後に確認すること
確認すること 見るポイント
シャッターの位置 天井に収まったままか、途中まで、または床まで降りていないか
連動制御器の表示灯 協会が日常点検に挙げる「各種表示灯に異常はないか」
手動閉鎖装置の表示 協会が日常点検に挙げる「非常スイッチ」の点灯・点滅、「蓄電池交換時期」
閉まる位置 停電中の片付けや荷物の移動で、物が置かれていないか

表示の意味や正常な状態は、製品によって異なります。普段の表示を写真に撮っておくと、停電の後に違いに気づきやすくなります。

降りていたときは自分で戻さない

確認したときに防火シャッターが降りていた場合は、周りの人を離し、火災の兆候がないかを確かめたうえで、触らずに専門業者へ相談してください。巻き上げるだけでは、連動の装置が待機状態に戻らないことがあります。閉まった後の進め方は、別の記事で解説しています。

長い停電の後は特に注意する

東京消防庁のサイトの資料では、消防用設備等の非常電源について、自家発電設備や蓄電池設備であっても所定の時間を超えると機能停止になることを踏まえて対応するとしています。防火シャッターの予備電源も蓄電池を使うため、使える量には限りがあると考えておくべきでしょう。停電が長く続いた後は、蓄電池の残りが少なくなっていることも考えられます。表示に異常がある、普段と違う音がするなど、気になる点があれば、触らずに写真を撮って相談してください。

計画停電・電気設備の点検の前に準備すること

高圧で受電している建物などでは、電気設備の点検のために建物を停電させることがあります。経済産業省の資料でも、停電により設備を停止状態にして行う点検を「停電点検」と呼んでいます。予定が分かっている停電は、防火シャッターにとっても準備ができる機会です。

停電点検の前・当日・後にすること

停電の範囲と時間を確かめる

電気設備の点検を担当する会社や管理会社に、停電する範囲と時間を確認しましょう。国の告示では、連動制御器の常用の電源の配線は、他の電気回路に接続しないものとされています。防火シャッターの電源がどの系統から来ているかを、電気の担当者と共有しておくと安心です。

手動で操作すべき設備を確認する

東京消防庁のサイトの資料では、停電時の対応として、排煙設備や防火戸などについて、手動で操作すべき設備の位置と操作手順を再確認するとしています。防火シャッターまわりでは、手動閉鎖装置の位置を確かめておきましょう。

予備電源の状態を事前に確かめる

予備電源の交換時期が過ぎている、検査で容量の不足を指摘されている、という場合は、停電の前に相談してください。停電中に火災が起きたとき、頼りになるのは予備電源です。

停電の後の確認の担当を決める

復電した後、誰がどの防火シャッターを見るかを決めておきます。台数が多い建物では、防火シャッターの場所と番号を書いた一覧を用意しておくと、見落としを防げます。テナントのいる建物では、停電の予定と、防火シャッターの閉まる位置に物を置かないことを事前に伝えておきましょう。

記録を残して、次に生かす

停電した日時と時間、復電した後の表示や動きの様子を記録しておきましょう。停電のたびに同じ表示が出る、同じシャッターだけ様子が違う、といった傾向は、点検や検査のときに役立つ情報です。点検の報告書とあわせて保管しておくと、予備電源の交換時期を考える材料にもなります。

予備電源の状態は点検・検査で確かめる

建築基準法第12条に基づく定期報告の対象となる建物では、国の告示で、防火シャッターの予備電源に関わる次のような検査の項目が定められています。対象の範囲や報告の時期は特定行政庁によって異なります。

検査の項目 方法と判定の考え方
予備電源への切り替え 常用電源を遮断し、自動的に予備電源に切り替わらないものを指摘
連動機構用・危害防止装置用の予備電源の容量 予備電源試験スイッチ等を操作し、容量が不足しているものを指摘
総合的な作動 予備電源ごとに、少なくとも1台以上は予備電源に切り替えた状態で作動を確認

協会も、危害防止の仕組みの蓄電池について、定期的な交換を呼びかけています。交換の目安や計画の立て方は「防火シャッターの連動制御器と予備電源の点検・交換」で解説しています。

同じような状況でお困りでしたら、ご相談ください

設置場所、手動・電動の種類、今の状態をお知らせいただくと、確認しやすくなります。写真はLINEで送れます。

費用が変わる要素と、日本シャッターサービスセンターでできること

停電の後の点検や、予備電源の交換、作動後の復旧は、製品や状態によって内容が変わるため、ここでは金額の目安ではなく、費用が変わる主な要素を整理します。

費用が変わる要素 内容
作業の種類 点検、法定の定期検査、予備電源の交換、作動後の復旧、修理
台数と予備電源の数 防火シャッターの台数と、予備電源がいくつあるか
関連する装置 連動制御器、自動閉鎖装置、危害防止装置の確認が必要か
製品の種類 部品や蓄電池の取り寄せが必要か
作業の条件 停電点検に合わせるか、作業できる曜日・時間帯、入館の手続き

※費用は、製品の種類・状態・設置状況、部品の取り寄せの有無によって変わります。作業の時間帯によって料金が変わる場合があります。正確な費用は、現地で状態を確認したうえでお見積もりします。

防火シャッターが天井に収まった建物内の通路と、その壁に付いた灰色の設備盤のイメージ
イメージ画像(AI生成)

日本シャッターサービスセンターでは、防火シャッターの保守点検、法定の定期検査、予備電源の交換、作動後の復旧、修理のご相談を承ります。防火シャッターの点検・検査を行える資格者が複数在籍し、点検・検査は年間約500件の実績があります。

停電点検の予定に合わせた事前の確認や、停電の後に表示や動きが気になる場合の点検もご相談ください。建物の防火シャッターと予備電源のつながりを確かめたうえで、必要な作業をご案内します。新設・防火・法人向けの工事には、5年間の施工保証が付きます。

まとめ

防火区画の防火シャッターは、火災のときに停電でも働くことが前提です。それを支えるのが予備電源で、停電したときに自動的に予備電源へ切り替わるかは、定期検査でも確かめられます。停電しただけで閉まるかどうかは製品によって異なるため、ご自身の建物の仕様を確かめておきましょう。

停電の後は、シャッターの位置、連動制御器や手動閉鎖装置の表示、閉まる位置を確認します。計画停電や停電点検の前には、範囲と時間、手動で操作すべき設備、予備電源の状態、確認の担当を整理しておくと安心です。

防火シャッターの点検・修理は「防火シャッター」、法定の定期検査は「防火設備の点検・検査」のページもご覧ください。

【付録】この記事で使った用語

用語 説明
常用電源 普段、建物から供給されている電気。
予備電源 常用電源が止まったときに切り替わる電源。蓄電池が使われる。
連動制御器 感知器からの信号を受けて、自動閉鎖装置に閉める指示を出す装置。
自動閉鎖装置 連動制御器からの指示を受けて、防火シャッターを自動的に閉める装置。
危害防止装置 降下中のシャッターが人に接触すると止まり、人がいなくなると再び降下する仕組み。
手動閉鎖装置 火災のときなどに、人の操作で防火シャッターを閉めるための装置。
停電点検 電気設備を停電させ、設備を止めた状態で行う点検。
復電 停電から電気の供給が戻ること。
定期報告制度 建築基準法第12条に基づき、対象の建物の防火設備などを検査し、特定行政庁へ報告する制度。
特定行政庁 建築に関する行政を担う自治体。定期報告の対象や時期を定め、報告を受ける。
作成:日本シャッターサービスセンター
運営:ジャパン合同会社。施工事例やご相談前の確認事項を掲載しています。

防火シャッターのご相談

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検査で指摘された内容、メーカー名、手動・電動の種類などが分かれば、あわせてお知らせください。

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